「ポスト安倍」海外紙記者はここに注目している 米国には「また1年ごとに代わるのか」との声も

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次期首相に海外記者が期待していることとは(写真:EUTERS/Kim Kyung-Hoon)

日本経済は歴史的な落ち込みを見せた。新型コロナウイルスは今後制御不能となり、オリンピックはまたもや延期に追い込まれるかもしれない。日本と最も緊密な同盟国アメリカが国を二分する大統領選挙に突入する中、日本周辺では中国が軍事挑発を加速させている。

安倍晋三首相は、明確な後継者をつくらずに任期満了まで1年を残して辞任することになった。安倍氏の後任になろうと壮絶な駆け引きを繰り広げている政治家たちを待ち受けているのは、上記のような目先の課題だけではない。

長期的に見れば、日本の次なるリーダーは安倍氏が約束しつつもやり残した課題に直面することになる。具体的には、政界や職場での女性の進出を促進すること、男性の家事分担を増やせるように労働条件を改善することだ。

待ち受けるのは困難ばかり

人口減やなかなか改善しない低出生率、それに外国人労働者の受け入れの難航に苦しむ日本では、労働力不足が課題となっている。日本は人口に占める高齢者の割合が世界で最も高く、年金の支払いや高齢化する国民への医療提供が早晩難しくなるおそれがある。

気候変動によってかつてない規模の自然災害が発生していることは言うまでもない。また、日本では福島の原発事故を受けて原子力発電所が停止していることから、エネルギーの安定供給にも不安がある。北朝鮮からはミサイル攻撃を受ける危険があり、韓国との関係も冷え込んでいる。

「このような状況で、いったい誰が首相になりたいと思うだろうか」と、ランド研究所のジェフリー・ホーナン研究員は言う。

ところが、さまざまな政治家が次々とポスト安倍に名乗りを上げている。次期首相を選ぶ選挙に立候補する考えを示した人物には、元外相の岸田文雄氏、現外相の茂木敏充氏、防衛相の河野太郎氏、元防衛相で以前に安倍氏と自民党総裁の座を争った石破茂氏、衆議院議員の野田聖子氏、さらに元防衛相の稲田朋美氏がいる。

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