「医療重視」は看板倒れ、民主党政権の医療政策、混迷する診療報酬改定 


 「報道の二つ目の盲点は、プラス改定が政権交代の成果とは言えないことにある」と二木氏は語る。というのも、「自民党も昨年の総選挙でのマニフェスト(政権公約)で診療報酬は来年度プラス改定を行うと明記しており、どちらの政党が勝利したとしても、プラス改定の可能性は高かった」(二木氏)ためだ。

そして三つ目の盲点として、二木氏は「露骨な医科、歯科間の改定率格差」を挙げる。プラス改定率は医科1・74%に対して歯科2・09%。ただし、歯科の大半は外来であることから、医科の外来(0・31%)と比べた場合、その差は7倍近くになる。

今回の改定率について、日本歯科医師会(日歯)は「新政権の英断を大きく評価したい」との会長声明を出した一方、日本医師会(日医)の中川俊男常任理事は「合格点を60点とすると、50点くらい。簡単に言えば不合格だ」と批判した。

この間、日歯の政治団体である日本歯科医師連盟は、今年夏に予定される参議院議員選挙での自民党からの候補擁立を見送った一方、日医の政治団体である日本医師連盟は、自民党所属の参院議員である西島英利氏を組織内候補として支援する方針を変えていない。

長妻厚労相は「影響していない」と一蹴するが、医療団体の民主党に対するスタンスの違いが、診療報酬の格差を生んだとすれば、「露骨な政治誘導」(二木氏)との批判は免れないだろう。

今回の診療報酬改定では、「政治主導」の多用が目につく。当事者の合意以前に、入院と外来の別に配分枠が設定されたことがその象徴だ。

また、再診料については、病院と診療所間の統一が中医協で合意されたが、水準の議論が続いているさなかに足立信也厚労省政務官から「(診療所は)再診料が下がる」との発言が出て、これをマスコミが大きく報道。診療所関係者の怒りを買った。

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