「医療重視」は看板倒れ、民主党政権の医療政策、混迷する診療報酬改定 


 昨年8月の衆議院総選挙で民主党候補を応援した原中勝征・茨城県医師会会長は、「もっと診療報酬を引き上げないとダメだ。今回はマイナス改定こそ回避したが、相変わらず診療所のカネを病院に回そうとしている」と苦言を呈している。

黒田氏が会長を務める蒲田医師会も総選挙で民主党候補を応援したが、現在、政府の中央社会保険医療協議会(中医協)で審議されている診療報酬改定の内容では「現状の改善にまったくつながらない。このままでは都市の医療崩壊は止まらない」と警鐘を鳴らす。

「“プラス改定”の実態がほぼゼロ改定だった」(二木立・日本福祉大学教授)ことも、今後医療界の不信感をさらに高める要因になりそうだ。

12月23日の予算折衝で、診療報酬全体の改定率はプラス0・19%(700億円増)で決着した。薬価や医療材料価格を計5000億円削る一方、医科で4800億円(入院4400億円〈うち急性期入院4000億円、その他入院400億円〉、外来400億円)、歯科で600億円、調剤で300億円、診療報酬を増やすこととした。

つまり、医療費増加分のほとんどが救急や産科など急性期病院に振り向けられる。その一方で、後発品のある先発医薬品の追加引き下げで捻出される財源(600億円)は、別途、診療報酬以外に回されるため、実質のプラス額は100億円にすぎない。

二木氏は、「診療報酬改定の報道には三つの盲点がある」と指摘する。一つ目の盲点は「薬価の『隠れ引き下げ』(後発品の置き換え効果の精算)の見落としだ。これを加えると、全体の引き上げは実質ゼロ%(厳密には0・03%)」(二木氏)。

診療報酬引き上げに伴う国庫負担の増加は160億円とされているが、置き換え効果を精算した場合、実質的には23億円にすぎないと二木氏は指摘する。615億円増となった難病対策や満額回答となった肝炎対策と比べて、診療報酬引き上げに対する冷遇ぶりは明白だ。

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