「歴史好き」がいずれ来るコロナ後の時代を語る 出口治明・権丈善一「今は重要な準備期間だ」

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コロナ禍でさまざまな社会経済の変化が起きているが、歴史的な視点で俯瞰してみることも重要だ(写真:Sergey Nivens /PIXTA)
内閣府が17日に発表した2020年4~6月期の国内総生産(GDP、速報値)は前期比7.8%減、年率換算で27.8%減と戦後最大の落ち込みを記録した。パンデミック(感染症の世界的流行)によって全世界同時で起こる生活様式と経済の激変には圧倒されるばかりだ。そんな今だからこそ考えてみるべきなのは、何が本質的な変化であり、われわれは何に注目したらよいか、だろう。
「人類と歴史」の視点で情報発信を続ける立命館アジア太平洋大学学長の出口治明氏と、年金、医療・介護など社会保障論の第一人者で歴史通でもある慶應義塾大学の権丈善一教授がオンラインで意見を交わした全2回の対談。初回はリモート化や米中対立など経済全般について語り合った(所得再分配政策と財政問題を扱った後編は8月下旬の公開を予定しています)。

まず時間軸を分けて考えてみよう

――コロナ禍でいろんなことが起こり、不安やストレスを溜める人が多いですね。心を整理する意味でも、コロナ禍とどのように向き合ったらいいですか。

出口 治明(以下、出口) 何十億年も地球に住んでいるウイルスは、20万年前に生まれたホモサピエンスの大先輩。一定の確率で動物を介して人間と出会い、時にパンデミック(世界的流行)が起きることもある。ただ、みんなが感染して免疫ができたり、ワクチンや治療薬が開発されたりして、いつかは必ず終わる。それまでの間は、ウイズコロナの時代として付き合っていくしかない。

手洗い、マスク着用、ソーシャルディスタンシングというニューノーマル(新常態)の3点セット、さらに感染が拡大すれば、ステイホームも仕方がない。ステイホームを基本にしながら、下火になったら少しずつ町に出て行くことしかウイズコロナの時代にはできないと割り切ったほうがいい。

世界中のリーダーにとっては、ステイホームやニューノーマルをどうやって市民に説得するかが腕の見せ所だ。一方でステイホームは、極論すれば仕事をしないことであるため、パート労働者やアルバイトに象徴される経済的弱者にしわ寄せが行ってしまう。したがって、緊急的な所得再分配政策をいかに迅速に行うかが重要になる。

さらに、ステイホームは、医療・介護従事者やスーパーマーケットの従業員などエッセンシャルワーカーの犠牲のうえに成り立っている。それを考えると、そういう人たちへの感謝の気持ちや行動をいかに社会政策の中で設計するかも大切なポイントだ。

ワクチンや治療薬が開発されたアフターコロナの時代になったら、僕の友人の言葉を借りれば、ハグし放題に戻る。人間の意識が「ウイズ」から「アフター」へすぐ戻るかという議論はあるが、コロナを考えるうえでは、ウイズとアフターでは戦略も考え方も異なるので、時間軸を分けて考える必要がある。

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