初婚カップル「年の差ランキング」が映す新事実 もはや「親がそうだったから…」は通用しない

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未婚化社会を象徴するかのように、初婚同士の結婚件数全体として見ると、1990年の55万件から2018年の34万件と、総件数が61%に大激減しています。

ところが、そんな中でも「妻が4歳以上年上」と「妻が3歳年上」だけは、それぞれ8114件増加、818件増加という、時代に反した結果となっています。この2パターンだけは、未婚化時代において驚異的ともいえる件数増加を見せている、という指摘ができます。

つまり、未婚化が進む平成・令和時代において、「わかりやすく年上妻な結婚」は統計的には“未婚化社会の救世主”ともいえるトレンドをみせているのです。

親世代の夫婦像を捨てられるか

あくまでも結婚を希望する人についての話ですが、統計的に見た意見としては「親世代の夫婦の年齢上下観は、今の初婚カップルの結婚には通用しなくなってきている」といえます。

男性から見れば「年下の女性がついてきてくれる」、女性からみれば「年上の男性が引っ張ってくれる」といった結婚観は、それをイメージしている時点で婚活が思うように進まない、ということが起こりやすいといえそうです。

夫婦の平均年齢差は2018年において1.7歳ですが、男女どちらが年上であっても、夫婦の年齢差について

・1歳以内 1990年:36% → 2018年:44%
・2歳以内 1990年:52% → 2018年:58%
・3歳以内 1990年:64% → 2018年:69%

と変化しており、年齢差は平均のみならず分散(散らばり)で見ても、どんどん縮小しています。

このような夫婦の年齢差の縮小傾向から見て、どちらか(とくに男性)がリードして歩むような結婚から、男性と女性がともに腕を組んで並んで歩くかのような結婚へと、“ふたりの姿”が変化してきていることを、最後にお伝えしておきたいと思います。

天野 馨南子 ニッセイ基礎研究所 人口動態シニアリサーチャー

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あまの かなこ / Kanako Amano

東京大学経済学部卒。日本証券アナリスト協会認定アナリスト(CMA)。1995年日本生命保険相互会社入社、99年より同社シンクタンクに出向。専門分野は人口動態に関する社会の諸問題。総務省「令和7年国勢調査有識者会議」構成員等、政府・地方自治体・法人会等の人口関連施策アドバイザーを務める。エビデンスに基づく人口問題(少子化対策・地方創生・共同参画・ライフデザイン)講演実績多数。著書に『未婚化する日本』(白秋社・監修)、『データで読み解く「生涯独身」社会』(宝島社新書)等。

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