「会社しか居場所がない人」は今後生き辛くなる 「お試し」で新たな一歩を踏み出してみよう
東松:自分が所属するコミュニティが増えること自体いいですよね。今の大企業で働いている人の大半が、ここで評価されなかったら終わる、という風に感じている。ここで評価されるために、行きたくない飲み会に行き、食べたくないものを食べて、ということをやっているわけじゃないですか(笑)。
僕がそれを卒業できたのは、リーマントラベラーとして別のコミュニティを持ったことで「こっちで嫌な上司に媚を売らないといけないくらいだったら、別のコミュニティ作ればいいじゃん」という考え方をできるようになったから。それで精神的に楽になった部分もあるし、それぞれの経験が生きる場面もたくさんあります。
みんな辞めるのがかっこいいと思っている
――東松さんは一般企業に勤めながら、リーマントラベラーとして活動の幅を広げていますが、社内や周りの反応はどうですか。
東松:反応は2分されているというか。最初はたくさん旅行に行っている、とねたまれる向きも強かったのですが、若い子たちからの支持はあります。僕が入社したのはリーマンショック後の2010年なので、年功序列・終身雇用の方がいいんじゃないか、という考えがある世代です。
だからずっと勤め上げる考えで働いていたのですが、ずっとこの仕事でいいのかという不安と戦っている中で、コミュニティを作るということを始めた。この活動を始めてから、相談に来る人が増えました。
ただ、みんな極端というか。「こういうことやりたいんですけど、会社辞めないとダメでしょうか」なんて聞いてくる。「いやいや、辞めないでいいよ。絶対辞めない方がいいよ!」みたいな。世の中の風潮は「辞める」ほうがかっこいいんですよね。独立起業転職はかっこいいというような。
独立起業転職がかっこいいのは、実際成功した人たちがメディアに出てかっこよく発信しているからで、実際に成功するかどうかはわからないわけです。そうじゃなくて、僕みたいにお試しでやってみる、というやり方も今だったらやりやすいわけです。
岡本:私が起業したのは2007年なのですが、会社作ってからサラリーマンを辞めるのに半年以上あるんですよ。8月の頭にねぶた祭りを見て、翌日に乳頭温泉につかりながら「俺は会社やるぞ」と法人登録をして上司にもちゃんと伝えたのですが、自分が抱えていた仕事がまったく終わっていなかったので、それが終わるまでは、と。