「会社しか居場所がない人」は今後生き辛くなる 「お試し」で新たな一歩を踏み出してみよう

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岡本:今までやってきたことが無どころか、マイナスになった中で人生の目標とか、なんで生きているのか、とかいうことをずっと考える期間が続いたわけです。結局、起業しようと決めるまで1年間葛藤したのですが、実はこの期間はメモを取っていないのです。メモを取り始めたのは、起業しようと決めた日からなので。

転職先がなかなか決まらず、モヤモヤした日々があったと話す岡本社長(撮影:尾形 文繁)

東松:僕もリーマントラベラーとして発信する前は、モヤモヤしている時期がありました。会社の中ですごいやりたいことがあるわけではない一方、旅行はすごく好きで。モヤモヤを抱えながら旅行していたら、「いろんな生き方があって、好きな生き方を選んでいい」というところに行き着いた。ただ、僕もモヤモヤ期はメモを取っていなんです。

岡本:一歩踏み出してからは残っているんですよね。

東松:モヤモヤした後に、1回抜けてから内省することの意味に気がついて、メモを残すようになったのかもしれませんね。

企業は「副業」も認めていかないと

岡本:ところで、東松さんは、コロナでリモート勤務などになってから会社や上司などに「なんだよ」って思うことはないですか。

東松:会社と自分の関係性がどんどん変わっているとは感じます。今まで圧倒的に会社が強い状況だったのは、結構出社の要素が大きかったのではないか、と。「行かなければいけない」という制約があるからみんな行くし、みんなが行くからそこにコミュニティがあってそこに自然に入るわけですが、コミュニティに行かなくてよくなったので、帰属意識的なところを会社が作らないといけない状況になったと感じます。

今オンラインサロンをやっているのですが、旅をベースにみんなが集まってきて、これが参加者にとって家、会社に次ぐ「第3のコミュニティ」的なところになっています。彼らのように会社以外のコミュニティに所属している人が増えてきている中で、会社は今後、副業も含めて、外のコミュニティに所属するのを容認しないと、帰属意識が薄れている人が出てくるのではないかな、と。

岡本:働き方に関しては、「お試し」が増えてきていますよね。副業なんてまさにそう。今までだったら考えられませんが、ベンチャーに働きに行ってよかったらそのまま転職しちゃうとか。それができる社会になってきたということですよね。

当社では、全社員の25%は副業をしているんです。実感値としてみんなそこで経験してきたことが、仕事にもプラスになっているし、副業の仕事になるとみんなすごく楽しそうに話すので、それこそ「やりがい」なんでしょう。

一方、大企業の多くは副業を認めている割には、実際にはやってほしくないという経営者が少なくない。社員にとっては違う経験ができるし、視座を高める機会になるのに。そこで、「あなたもほかの上場企業の社外役員をやっていて、それによって得るものがありますよね。なぜ社員にやらせないんですか」って伝えると、皆さん「あっ」ってなる(笑)。自分の経験が結び付いてないんですよね。

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