殺虫剤メーカーが今年「当たり年」となった理由 気温と巣ごもりで売り上げ急増、一時品薄に

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殺虫剤メーカーの業績は気温に大きく左右される。というのも、殺虫剤の商品カテゴリーで最大なのがハエ・蚊用であり、特に蚊は気温によって活動状態が変化するからだ。

業界3位のフマキラーによると、「ヤブ蚊は気温が25~26度になると活性化する。反面、30度を超えると吸血意欲が低下する」。なお、ショウジョウバエの最適温度は25度。40度以上になると死亡する個体も出てくるという。

ここ2年は気温の変動が原因で売り上げが低迷していた。2018年は記録的な酷暑。35度を超える猛暑日が続き、あまりの暑さに蚊も活動が鈍った。実際、フマキラーの2019年3月期の殺虫剤売上高は前期比20%減の307億円にとどまった。

「巣ごもり消費」も追い風に

それが2019年は一転し、残暑が厳しかったものの全体としては冷夏だった。2020年3月期のフマキラーの殺虫剤売上高は前期を上回る326億円となった。ただ、2期前との比較では15%減と低迷が続いた。

今年は過去2年以上の売り上げを見込める「当たり年」だ。5~6月の気温上昇がハエ・蚊用製品の売り上げ増に寄与している。アース製薬の「液体蚊とりアースノーマット」はここ10年ほど、売り上げが減少傾向にあったが、2020年に入って1~6月は前年同期比20%増となっている。「コバエがホイホイ」の売り上げも好調でこちらは18%増だ。

気温に加えて追い風になっているのが、新型コロナによる巣ごもり需要だ。

キンチョールなどを販売する業界2位の大日本除虫菊は、「巣ごもりで家庭ごみが増え、そこにハエやゴキブリが集まったり発生したりしているのでは」とみる。また、在宅時間が長くなったことで、そもそも虫と遭遇する機会が多くなったこともあるという。

新型コロナ対策で換気のために窓を開ける機会も増えた。そのため、今年は網戸に噴射するタイプの殺虫剤が伸びている。フマキラーによると、「虫よけバリアスプレー アミ戸窓ガラス」など網戸タイプの商品の1~6月の売り上げは、2019年の同時期と比べて2.5倍になっているという。

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