「書ける人」が話せる人より有利になったワケ 対面コミュニケーションが苦手な人にチャンス

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一方で「書く」能力は、後天的に獲得しやすいものです。どんな人でも幼少期は書く能力に差はなかったはずです。よって、『書くのがしんどい』で書いたような、ちょっとしたコツをつかむだけで書く力はアップさせることができるはずなのです。

書くコミュニケーションは、「話すコミュニケーションの代わりになる」という以上に、メリットが多くあります。

「書く」コミュニケーション、3つのメリット

1つ目は、時間と場所を問わないということです。録画・録音は別にして「話す」コミュニケーションは、時間と場所が固定されます。一方テキストであれば、時間と場所を問わず読んでもらえます。通勤途中に昼休みに、ささっと触れてもらえます。

2つ目は、何人が読んでも緊張しないということです。話すコミュニケーションは相手が増えれば増えるほど緊張します。これはライブ配信などでも同じです。「向こうで何百人、何千人が見ている」と意識しただけでかたくなってしまう。テキストはそんなことはありません。何万人が読もうが、内容もテンションも変わりません。

『書くのがしんどい』(書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

3つ目は、勝手に拡散していくということです。テキストはコピペも簡単ですし、SNSを通じて瞬時に拡散させることもできます。自分が必死に「営業」しなくても、内容がよければ勝手に広がっていってくれるのです。

しかも一度書いてネット上に載っけておけば、その後に何もしなくてもずっと自分のことを営業してくれます。1回書けば、24時間365日「自走」してくれるのです。

「話す」よりも「書く」が先に来る時代――。そんな時代では「書く」というテキストでのコミュニケーションを制する者が勝てます。「私は内気だから、言いたいことが言えない」「俺は話すのが苦手だから、活躍できない」。もしそう思っている人がいたとしたら、ものすごいチャンスの時代です。書く力を磨くだけで、影響力を増やすことができるのです。

竹村 俊助 WORDS代表取締役

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たけむら しゅんすけ / Shunsuke Takemura

WORDS代表取締役。『メモの魔力』(前田裕二)『実験思考』(光本勇介)『段取りの教科書』(水野学)『ぼくらの仮説が世界をつくる』(佐渡島庸平)など書籍の編集・執筆。「週刊文春」「ハフポスト」などでも執筆。SNS時代の「伝わる文章」の探求をしている。

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