公務員の評価が「A」「B」に偏る日本型人事の害悪

「窓際おじさん」はいかにして再生産されるのか

「A」と「B」が大半を占めるという国家公務員の人事評価。その状況は日本社会全体の問題でもある(写真:Caito/PIXTA)

国家公務員(一般職員)の現行の人事評価制度は2009年度に導入されたものだが、総務省が2013年に実施した調査では、S・A・B・C・Dという5段階の能力評価であるにもかかわらず、Sは5.8%、Aが53.8%、Bが39.8%、Cが0.5%、Dが0.1%であったという非常に偏った結果であった、と報じられた。

AとBばかりで人事評価で差がついていないことから、政府は能力や実績をより反映できるように従来の5段階評価をさらに細分化する案を検討し、2021年夏からの改正を目指しているという。

こうした状況は、実は多くの民間企業でも同じである。人事評価をしてもAとBばかりで差がつかない。社員は皆平等という意識が強い、あるいは、社員がやる気を失うのが怖いため、上司がわざと差をつけないといったほうが正しいかもしれない。

しかし、やる気のある社員の間には「頑張るのがバカらしい」という気持ちが広がり、緊張感のない社員ばかりになる。新しい仕事に挑戦して日本企業を革新しようと考える社員はいなくなる。その結果、日本企業の競争力は日に日に低下していく。どのようにしたら、こうした人事評価の機能不全を止めることができるのか。

MBOでも変わらない日本的運用

日本企業の8割で、すでにMBO(マネジメント・バイ・オブジェクティブ)が導入されている。

MBOとは、当時ゼネラル・エレクトリック(GE)のコンサルタントを務めていたピーター・ドラッカーが1954年の著書『現代の経営』の中で提唱した制度であり、人事評価のスタンダードである。社員自身が目標を設定し取り組むことで社員のモチベーションの向上を図ろうという目的を持って生まれたものだ。

この導入以前は、多くの日本企業で社員が自分で目標を立てられる仕組みはなく、評価の基準もブラックボックス化されていた。人事評価の指標がオープンになり評価プロセスが透明化された点、目標設定と評価のための定期的な上司との面談が自分の方向性と企業の方向性をすり合わせる機会となる点で、MBOは大きなメリットをもたらすはずだった。

ところが、多くの日本企業で行われるMBOの評価は、国家公務員と同じように、S・A・B・C・Dの5段階評価のうちのA評価とB評価に偏る傾向があり、CやDをつけるべき人たちにもB評価が与えられてきた。

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