アルファードがヴェルファイアの7倍売れる謎 車種リストラを目論むトヨタのしたたかな策
2015年1月にアルファードとヴェルファイアは、現行型にフルモデルチェンジする。この段階でアルファードのフロントマスクが仮面のような形状に変わり、睨みを利かせる印象を強めた。
このデザインが功を奏し、2015年の登録台数は、アルファードが伸びて約4万4000台(1カ月平均で約3700台)に。ヴェルファイアは約5万4000台(約4500台)に減り、登録台数の差が縮まった。しかし、それでも依然としてヴェルファイアは、アルファードの1.2倍は売れていた。
異変が生じたのは、2017年12月に実施されたマイナーチェンジからだ。両車ともフロントマスクのデザインが手直しされ、アルファードは仮面状のグリルにメッキをちりばめて存在感を一層強めた。ヴェルファイアもバンパー左右の開口部を拡大したが、「アルファードのほうがカッコよくなった」と評判が立った。
その結果、2018年の登録台数は、アルファードが約5万9000台(1カ月平均で約4900台)、ヴェルファイアは約4万3000台(同約3600台)となり、マイナーチェンジ前とは逆に、アルファードの登録台数がヴェルファイアの1.4倍に達した。
販売店はヴェルファイアを扱うネッツ店のほうが多いのに、フロントグリルの形状を少し変えただけで、アルファードの売れ行きが上まわったのだ。
自動車という商品は嗜好品に似た性格があり、ナンバープレートの位置など、デザインの小さな変更が売れ行きを左右することも多い。情緒的な価値で売れる面があるから難しい。
販売店に聞くアルファード有利の理由
アルファードには、このほかにも販売面で追い風になる要素があった。アルファードを扱うトヨペット店は、次のようにコメントしている。
「2代目が登場した(2008年)頃から、TVのニュースなどは、政治家や企業のトップがアルファードを使う様子を報道するようになった。アルファードのイメージが高まり、法人のお客様が社用車として使うケースも増えた」
もともとトヨペット店は、商用バンの「ハイエース」を用意することもあり、法人ユーザーの多い販売系列だ。著名人がアルファードを使い始めたことで、社用車のニーズも増えたと言う。トヨペット店からは、次のような話も聞かれた。
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