サンマーク「全員ヒット編集者」の絶妙な仕掛け 植木社長「社員に借りがあり、報いるのが会社」
スペインを選んで書店を視察してきた女性の編集部員が、帰国後、「スペインでは1色刷りの実用書が大半だ。2色刷りは非常に少ない。4色刷りに至っては皆無だ。スペインで4色刷りの実用書を出版したらヒットするかもしれない」というレポートを書いてきたんです。僕はチャンスがあるかもしれないと思いました。
そこから準備を始め、昨年、前編でも話題にした『モデルが秘密にしたがる体幹リセットダイエット』(佐久間健一 著)を、スペインで出版したのですが、その後スペインのアマゾンで1位を獲得したんです。
出来すぎた話のようですが事実です。ですが、それは僕が意図したことではありません。成果を求めて海外研修を実施したわけではないのです。出版社はゼロから何かを生み出す仕事に携わっているわけですから、社員一人ひとりが豊かな経験をすることが不可欠だと思います。そういうところから何かが生まれてくるはずで、目標達成休暇も海外研修も、種まき、つまり、将来への投資だと考えているのです。
苦境に立たされている日本のモノづくりのために
――社長就任から約18年、このタイミングで初めてご自身の著書の出版に踏み切られた理由を最後に教えてください。
10年ほど前から、社内から「これまで会社がやってきたこと、社長がやってきたこと、われわれの考えを形にして出版すべきだ」という提案があったんです。ですが、私自身『脳内革命』が400万部も売れたのは幸運に恵まれたからだという思いも強く、そんな気持ちにはまったくなれず、他人様に立派なことが言えるような立場ではないと言って固辞し続けていました。
ですが、社長業も18年近くなり、その間、国内でも海外でもメガヒットに恵まれたこともあり、いろんなところで私たちの会社に関心をお持ちいただいていることを感じることが多くなりました。一方で、出版業界やコンテンツ業界、さらには日本のモノづくりや商品づくりの世界が苦境に立たされているという状況がありました。
そこで、弊社の本づくりの方法や、社員教育や人事制度を1つのコンテンツとして考えたとき、僕自身が何かを発信することで、多少なりともお役に立てることがあるのではないかと、やっと思えるようになった、ということだと思います。
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