サンマーク「全員ヒット編集者」の絶妙な仕掛け 植木社長「社員に借りがあり、報いるのが会社」

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編集者ほぼ全員がベストセラー経験者というサンマーク出版。植木宣隆社長に社員教育や制度に、どんな成功する仕組みがあるのかを聞いた(撮影:尾形文繁)  
100万部を超える書籍がそもそも年間数冊しか出ない出版界において、直近25年で8冊ものミリオンセラーを送り出したサンマーク出版。現在、編集者15人のうち、年次の浅い人を除いてほぼ全員が20万部以上のベストセラーの経験者でもある。
全員がヒットを生み出せる仕組みとは?「社員47人の出版社が100万部超を連発できる訳」(2020年8月1日配信)に続く、植木宣隆社長のインタビュー後編をお届けする。

豚もおだてりゃ木に登る

――毎月、山ほど新刊が発売される出版界において、入社間もない新人を除く編集者全員が20万部以上のヒット作を生み出すのは、容易なことではありません。

編集長時代に気づいたことがあるのですが、編集者を成長させるには、ちょっとした成功を体験させてあげることが非常に大切です。ですから、成功させるようなメンタル的なフォローには力を注いできました。「豚もおだてりゃ木に登る」ではありませんが、褒めることも大切で、それも成功体験となり自信につながります。画家の多くには小学生のときに美術の先生に褒められたという経験がありますよね。反対のケースもありますが。

――成功体験とは?

例えば、編集者にとって重版がかかるのはとてもうれしいことです。ですから、別に示し合わせているわけではないのですが、弊社には、なんとか重版にこぎつけるように周りが新人をフォローするという文化があります。営業も熱心に少しでも可能性のある方向で営業戦略を展開するといったことをかなり意識してやってくれています。もちろん、厳しさも必要で、社員を育てるには優しさと厳しさの両面が大切だと思います。

――採用や社員教育において重視しているのは?

目標達成意欲の強い人を採りたいという意識はあります。あとは育て方ですね。基本は「長所を伸ばせば、欠点は隠れる」というスタンスです。同じ才能や能力の持ち主でも、欠点指摘法で指導されるのと、長所を見て「いいね、いいね」と言って育てられるのでは、雲泥の差になってくると思います。

もしかすると、それは著者にも言えることかもしれません。編集者には著者を褒めちぎって「のせることができたら勝ち」というのがありますからね。

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