アスリート800人が語る「暴力指導」の衝撃実態 人権NGOが提起したスポーツ界の深刻な問題
国際人権NGO(非政府組織)のヒューマン・ライツ・ウォッチが7月20日に発表した報告書が、日本のスポーツ界に衝撃を与えている。報告書のタイトルは「『数えきれないほど叩かれて』:日本のスポーツにおける子どもの虐待」――。
日本のスポーツ界に深く根差している「暴力」について厳しく指摘する内容である。かなりのインパクトのあるタイトルだが、その中身はもっと衝撃的だ。
衝撃的な報告書の中身
ヒューマン・ライツ・ウォッチは、これまでも世界の人権状況について調査報告を行い、世界に発信してきた。「調べる、知らせる、世界を変える」という方法論に基づき、調査員を人権侵害の現地へ派遣し、被害者や加害者を直接調査し、報告書という形で発表しているという。
最近でいえば、ミャンマーのロヒンギャ難民、アフガニスタンにおけるタリバンによる人権侵害、LGBTの人権問題、フィリピンの麻薬撲滅戦争など、世界中の人権問題について調査し、厳しく指弾してきた。そんな報告・レポートに交じって、日本のスポーツ界の問題が大々的に取り上げられているのは、なんとも異様だ。
この報告書は、オリンピック・パラリンピックに出場したトップアスリートを含む約800人に実施した調査(757人へのアンケートと、56人へのインタビュー)に基づいている。また、スポーツ庁をはじめとする日本のスポーツ組織の幹部にも面会して話を聞いたという。
その調査から浮かび上がってきたのは、今も続くスポーツの現場での「子どもへの暴力」だ。
例えば、埼玉県の高校球児だったショウタ・Cさん(23歳・仮名)のコメントとして、指導者から「あごを殴られて、口の中が血だらけになりまた。シャツの襟をつかまれ、身体を持ち上げられました」「部員の9割が暴力を振るわれていました。『まだ殴られてないのか。いつになったらお前の番なんだ』と冗談を言っていたものです」といった内容が掲載されている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら