「日本式」で急伸、台湾の塾がそこまでやる理由 わずか5年で台湾最大規模にまでなった秘密

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台湾で展開する「明光義塾」、その知られざる実際とは?写真は台北郊外の住宅地・新北市にオープンしたばかりの錦和教室の外観(写真:筆者撮影)

新型コロナウイルスの影響で3月から約3カ月間、学校が休校になった日本。自宅で慣れないリモートワークをするかたわら、子どもの学習を見るのにへとへとだった共働きの親も多かったのではないか。

一方、筆者が暮らす台湾では、日本ほど“自粛疲れ”の声は聞こえてこない。新学期の開始が2週間延期されたのみ。延期された分、今年の夏休みのスタートを遅らせることで調整した。政府はそれと同時に、12歳以下の子どもを持つ保護者に「子どもの面倒を見るための休暇」の申請を認めたため、多くの親がこの制度を使って自粛期間を乗り切ったからだ。

この休校期間中、日本では多くの塾も休みかオンライン授業となったが、そのサポートの大変さを嘆く保護者の声も多く聞かれた。では台湾の塾は影響をどのように受けていたのだろうか。現地で取材してみると、日本とはちょっと違う、台湾の塾事情が見えてきた。

日本とは大きく異なる「塾の存在」

台湾において、塾の役割は学齢によって大きく異なる。午後早い時間に下校となる小学校時代には、塾のスタッフが親の代わりに小学校まで生徒を迎えに行き、子どもたちは親が迎えに来るまでの時間を塾で過ごす。お腹を空かせる子どもたちのために、多くの塾ではおやつや夕食も提供する。

夏休みや冬休みも塾で過ごすケースが一般的だ。送迎の都合から、たいていは小学校や住宅街の付近に塾は密集している。

中学・高校になると、生徒は学校帰りに自分で塾へ行き、受験のための学習をするようになる。台北市だとターミナル駅である台北駅の駅前は数多くの塾が立ち並び、塾同士が凌ぎを削り合う、台湾随一の激戦区になっている。

このように台湾において学習塾とは、小学生の頃から大学受験まで多くの時間を過ごす身近な存在だ。

一方、親たちが塾に期待する”成果“は小さくない。台湾で暮らす筆者がよく耳にするのは、「塾で学習したページ数」と「生徒の成績順位がどれだけ上がったか」という目に見える成果に対してのみ月謝を支払う、といった、親たちの厳しい成果主義だ。

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