観光業"復活"のヒントは「台湾星のや」にあった

コロナ下で叩き出した驚異の稼働率7割超え

建築コンセプトは、台湾の多様性。壁の凹凸がその共生を意味する(撮影:五味稚子)

2020年2〜6月の稼働率7〜8割、7月の予約率は9割――。この数字は、台湾にある「星のや」の稼働状況である。

台湾の新型コロナウイルス対策が優れていたとはいえ、海外から台湾に来る人の波は断たれたまま。その状態で叩き出した数字は驚異的というほかない。

昨年は月間100万人前後の人数が海外から台湾を訪れていた。それが今年2月には前年同月比62.6%減、3月には同92.7%減と大きく落ち込んだ。「鎖国」と揶揄されるほどの状況で、多くのホテルの稼働率は2月に同1〜2割にまで落ち込み、3月に入ると続けざまに休業の報が聞かれた。そして同月末には、ついに12施設が閉店に追い込まれた。

台湾のホテルも必死だ。割引価格を設け、施設内レストランでは地元客向けの料理を充実させたり、オフィス利用のサービスを始めるなど、さまざまな工夫を重ねている。

同業他社がそんな状況にある中で、2月以降7〜8割を維持し、7月には9割、という数字はズバ抜けている。星野リゾート全体で運営する施設のうち、7月10日時点で、星のやバリと磐梯山温泉ホテルの2軒が休館しているというから、「星野だから」とも言いがたい。

台湾の星のやは、どうしてこんな数字が出せるのか。それを確かめるため、筆者は星のやグーグァンへ向かった。

「昔からの温泉地」という立地

グーグァンは台湾中部の地名で、漢字では「谷關」と書く。台湾は新幹線も在来線も走っており、交通の便は日本とさほど変わらないが、残念ながら谷關へは自動車で入る以外に策がない。

台湾新幹線の台中駅からであれば、時間にして1時間40分。日本統治時代の資料にも「交通は非常に不便」と身もふたもない書き方をされている。それでも当時は4時間以上かかっていたそうだから、時間は大幅に短縮されたことになる。

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