なぜ危険な紛争地で取材をするのか
安田さんは一橋大学社会学部卒業後、1997年に信濃毎日新聞に入社。2003年1月に信濃毎日新聞社を退社し、フリージャーナリストに転身。アフガニスタン、シリア、イラクなど紛争地を中心に取材活動を続けてきた。なぜ安定した会社員生活を辞め、多くの人が虐殺され、誘拐されている戦地で取材活動をしようと思ったのだろうか。
「それは単に“知りたかった”からです。それに、圧政や虐殺などは、誰かが記録して伝えなければ“起きていないこと”と同じになってしまう。自分も知りたいし、事実を伝えたい。その思いに突き動かされ、在職中の2002年から中東などの取材を開始。2007年からイラクの基地建設現場で料理人に扮して潜入取材をしました。
この様子は、『ルポ 戦場出稼ぎ労働者』にまとめています。その後、2012年にはシリア内戦を取材。2015年6月、取材のためトルコからシリアに入るときに武装組織に拘束され、2018年10月に解放されるまで、3年と4カ月間、監禁されました」
突然、身柄を拘束され、いつ解放されるか先の見えない状況。命の危険にさらされる中、安田さんはどのように生活し、どんなことを考えながら3年4カ月もの間、地獄の中を生きてきたのか。まず、シリアに入った経緯を伺った。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら