安田純平氏に聞く「ウィズコロナ時代の生き方」 シリア監禁生活3年4カ月を通して学んだこと

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その後、安田さんは帰国し、賛否両論の嵐の中に身を置くことになる。それから約1年半の現在、執筆や講演などの依頼に応え、精力的に活動している。

「シリアの武装勢力に奪われたパスポートは、いまだに再発行されておらず、私は海外渡航ができませんので、国内での活動が主になっています。この話をすると、解放当時も今も、“自己責任”という言葉で、私を非難する人が多くいます」

安田さんは、2020年1月、帰国後、外務省が旅券(パスポート)を発給しないことは違憲だとして、国を相手に、東京地裁に提訴した。

思考停止の結果による正義が暴走する時代

2018年、安田さんが解放されたとき、“自己責任”という言葉で、安田さんは世間から非難された。その中には、安田さんの著書を読まずに誹謗中傷を浴びせた人も多かった。

その後、“自己責任”という言葉は、個人の行動を制限するのみならず、弱者を切り捨てる言葉として広く使われるようになる。コロナ渦中もこの言葉は蔓延し、コロナウイルスに感染した著名人は、いたわられるどころか、「自己責任がとれないのに外出するからだ」などと攻撃され、世間から断罪された。

「コロナ禍中の外出自粛は、あくまで要請レベルの話です。それなのに、すぐに思考を停止し、自粛を自他ともに強要する人が多かった。自分でものを考えて行動を決めるのではなく、政府や世間から言われたとおりに行動し、人にもそれを強要したがる。世間の基準を逸脱する人、しようとする人を、潰しにかかるような行動をする人もいました」

いわゆる自粛警察だ。正義の気持ちを暴走させ、行動している個人や、開店しているお店などを攻撃した。江戸時代の5人組、戦時中の隣組のように、他者を監視し、逸脱する人をSNSでさらし、攻撃した。

「“自己責任”と言いながら、実際は自分で考えて行動することを否定している。そうすることで自分の責任から逃れようとしている。“自己責任論”とは実際は自己責任を否定する論だということです」

新しい生活様式が推奨される、アフターコロナ、ウィズコロナの社会について、3年4カ月もの間、拘束された安田さんは何を思うのだろうか。

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「まずは生きることを最優先に考える。そして、自分の頭と価値観で考え判断することです。自由が制限される環境下では、置かれた状況を判断し、行動し続けることが大切です。流れてくる情報を鵜呑みにして翻弄されないために勉強も必要です。加えて、心身の健康の維持、何が本当に幸せなのかを知ることにも大きな意味があります。私は拘束されている間、『なんとかして日本に帰り、人生をやり直す』と思っていました。

やりたいことをリストアップして、家族と淹れたてのコーヒーを飲むとか、ささいなことまで書いていきました。幸せとは、ささいなことだからこそ、得がたい。自分にとって大切なもの、逆に実はそうでもないものなど、何もできないときだからこそ見えてくるものがあります。改めてそれを考えてみるよい機会ではないでしょうか。コロナ禍はしばらく続くでしょう。他人の価値観に左右されず、できることを続ける……それが大切なのだと感じています」

沢木 文 Writer&Editor

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さわき あや / Aya Sawaki

1976年東京都足立区生まれ。大学在学中よりファッション雑誌の編集に携わる。恋愛、結婚、出産などをテーマとした記事を担当。著書に『貧困女子のリアル』 『不倫女子のリアル』(ともに小学館新書)がある。
 

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