観光業"復活"のヒントは「台湾星のや」にあった コロナ下で叩き出した驚異の稼働率7割超え

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「2月の初旬から、コロナを気にされる方がキャンセルされたところへ、海外に行けなくなった台湾の方が予約してくださるようになりました。このキャンセルと新規予約の繰り返しは3月まで続きました。4月、5月は予約していた日程を後ろにずらしたい、というお客様が多かったのですが、6月に入ってだいぶ落ち着いてきました」

新規客に選ばれた要因の1つに、台中市政府がいち早く取り組んだ施策「安心旅宿」がある。

各宿泊施設におけるスタッフや公共エリアなど、全部で21の項目について防疫基準を示し、市の担当者が実際に検査したうえで、客が安心して泊まれると判断した施設のみ「安心旅宿」の認定を行う、というものだ。6月現在、台中市にある445施設のうち、282施設が認定を受けている。

日本でも有名になった台湾の中央感染症指揮センターが設置されたのは1月21日だが、なんとそのわずか5日後、1月26日にはこの「安心旅宿」の検査開始が星のやグーグァンに通知された。認定が下りたのは2月上旬。そのスピード感も驚きだが、田川さんはこう続ける。

「日本ではまだマスクを着けて接客するのはどうなんだろうかと議論している今年2月の段階で、台湾では同業他社が防疫体制を公式サイトなどで公表し始めていました。その波に乗り遅れるわけにいかないと、すぐに対応に動きました」

台湾では1月の後半以降、新型コロナの関連ニュースが連日取り上げられてきた。日本でも「コロナ疲れ」と呼ばれたが、台湾でもその感覚を持つ人は少なくなかった。

星のやは滞在を楽しんでもらうことに主眼を置いているため、個室にはテレビも時計もない。コロナに疲れた人たちにとっては、それも奏功したようだ。

降り続く情報の喧騒を離れ、安心して過ごせる場所に行きたい――。星のやグーグァンは、そのニーズに合致する場所となった。

受け入れ態勢の妙

では、その「安心」はどのように作り出されていたのだろうか。

全室に付いている源泉掛け流しの温泉。左右を山脈に挟まれた谷關。夜は星が降るように輝く(撮影:五味稚子)

星のやグーグァンは全49室が完全個室で、全室に源泉掛け流しの温泉が付いている。チェックイン以降、その気になれば他者と接触しなくて済むわけだ。

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