中国「ライブコマース」過熱の裏で問題急増の訳 消費者の苦情に対応し自主ガイドライン策定

✎ 1〜 ✎ 144 ✎ 145 ✎ 146 ✎ 最新
拡大
縮小
ライブコマースは誰でも手軽に始められるが、取引のトラブルも少なくない(写真:プラットフォーム大手の抖音のウェブサイトより)

中国ではライブコマース(訳注:生中継のネット動画による実演販売)のブームが過熱するとともに、商品を購入した消費者からの苦情も急増している。そんななか、中国広告協会がライブコマースの規範化に向けた自主ガイドラインを策定し、7月1日に施行した。

ライブコマースに対する消費者の苦情は、いくつかの典型的な問題に集中している。中国消費者協会の調査によれば、例えば、販売者が(会社の実在や販売許可の有無を示す)証明書を明示しない、実演者が(虚偽や誇大な表現など)違法な宣伝をしている、生中継の説明と実際に届いた商品の品質が異なる、生中継の視聴者数や商品の販売数の表示を水増ししている、アフターサービスが受けられない、などだ。

プラットフォームやMCNも対象に

中国広告協会のガイドラインは、まさにこうした問題への誠実な対応を求めている。

特筆すべきなのは、その対象がライブコマースの実演者や商品の販売者だけでなく、システムを提供するプラットフォーム企業や生中継をサポートするMCN(訳注:マルチチャンネルネットワークの略称。動画メディアのタレントのマネジメントやコンテンツ制作を請け負う組織)を含んでいることだ。

本記事は「財新」の提供記事です

例えばプラットフォーム企業に対しては、商品の販売者がアプリに登録する際の審査の強化や、生中継での取引が適切に行われるようチェックすることなどを求めた。MCNに対しては、所属するタレントが法や規則を破ることがないよう教育やマネジメントの徹底を求めている。

もっとも、ガイドラインはあくまで自主規制であり強制力はない。そこで中国広告協会は、ガイドラインの遵守状況を調査・評価するとともに、ライブコマースのベスト・ワーストのランキングを公表するなどして業界の規範化を推進する考えだ。

(財新記者:銭童)
※原文の配信は7月1日

財新 Biz&Tech

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ザイシン ビズアンドテック

中国の独立系メディア「財新」は専門記者が独自に取材した経済、産業やテクノロジーに関するリポートを毎日配信している。そのなかから、日本のビジネスパーソンが読むべき記事を厳選。中国ビジネスの最前線、イノベーションの最先端を日本語でお届けする。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT