中国最大のLGBT(性的マイノリティー)向け社交アプリ「Blued」(ブルード)が、アメリカのナスダックでIPO(新規株式公開)を計画していることが明らかになった。6月16日、Blued の親会社である藍城兄弟ホールディングスがアメリカ証券取引委員会(SEC)にIPOの目論見書を正式に提出した。資金調達の総額や公募価格はまだ示されていない。
BluedはIPOに先立って複数回の資金調達を実施し、2019年2月のシリーズDの資金調達では1億ドル(約107億円)を集めた。目論見書によれば、資本構成は創業トップの馬保力氏が代表者を務める藍城兄弟文化傳媒が筆頭株主で持ち株比率は37%。第2位株主はスマートフォン大手の小米(シャオミ)を創業した雷軍氏が率いるベンチャーキャピタルの順為資本の12.3%。同3位は中国最大級のオルタナティブ投資会社である鼎暉投資の9.4%と続く。
現時点ではBluedの損益は赤字だが、売り上げは急速に伸びている。目論見書によれば、2019年の売上高は前年比51.5%増の7億5900万ドル(約815億円)。一時費用を除いた調整後純損失は5300万ドル(約57億円)と、2018年の同9000万ドル(約97億円)より縮小している。
インドやベトナムでも最大のコミュニティーに
成長を支える収益の柱は有料会員制のライブストリーミングだ。2019年のライブストリーミングの売上高は前年比46.5%増の6億7100万ドル(約721億円)に達し、総売上高の88.5%を占めた。
Bluedは中国の「LGBT経済」をリードする存在であり、背景には世界最大の人口がもたらす潜在ユーザーの厚みがある。目論見書によれば2020年3月31日時点の登録ユーザー数は4900万人を超えており、2020年1~3月期の月間アクティブユーザー数は600万人、1日平均アクティブユーザー数は250万人に上る。
ただ、財新の取材に応じたあるBluedの社員によれば、中国国内のユーザー数はすでに伸び率が鈍化しており天井に近づいている。このため、2017年からは海外市場の開拓にも力を注いできた。調査会社のレポートによれば、Bluedはインド、韓国、タイ、ベトナムなどで2019年の月間アクティブユーザー数が最大のLGBT向けオンライン・コミュニティーになっている。
(財新記者:関聡)
※原文の配信は6月17日
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