教育学者・内田良「ウィズコロナ時代の学校論」 リスクと正しく付き合っていく方法
しかし、オンライン授業が構築されていれば、学校へ行くことをもっともっと緩くできる。僕はそう期待しています。体調不良のときも、無理をせずに自宅で授業を受けられるので、学校を休みやすくなり、無理する必要がなくなるわけですね。
オンライン授業によって子どもたちの学ぶ権利を保障できれば、いじめを起こした加害側の子どもには授業をオンラインで受けてもらうということができるかもしれません。
学校の態度、変える契機に
もちろん、それだけでいじめを受けた子どもの恐怖がなくなるとは思いませんが、学校側の態度を変えるきっかけにはなるはず。いじめを受けた子が一方的に学校へ行けなくなったり、転校を余儀なくされるのは、やはりどう考えてもおかしいですから。
オンライン授業はリアルタイムで見てもいいですし、録画したものを見るのでもいい。カメラは教師のみオンにして、児童生徒はオフにする。
参加の選択肢を広げれば、不登校の子どもたちも、自分が学びたいタイミングで学ぶことができるようになる可能性があるでしょう。
僕が受け持っている大学の講義は、4月以降ずっとオンラインです。当初は、これで学力がつくのだろうかと思いましたが、学生たちに考えさせる仕掛けをつくったところ、彼らが着実に成長している手応えを感じています。
むしろ、今までなら教室にいても、居眠りをしていた学生もいたでしょう。これは僕にとっても大きな発見でした。
社会でも学校でも、これまではそこに来ていれば評価され、来ていないやつはダメだというレッテルを貼られていました。でも、けっしてそうじゃない。
大事なのはひとつのことを真剣に考え続けることであって、オンラインがそれを浮き彫りにしてくれたことを、僕は今、身をもって感じているところです。
(了/編集・小山まゆみ)
1976年福井県生まれ。学校管理下の組み体操や柔道を含むスポーツ事故、いじめや不登校の教育課題、部活動顧問の負担など、子どもや教員の安全・安心について研究。
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