服を“自由に”選ぶことができる現代
さて、ここで話を一気に過去から現代に戻します。
現在においても、過去の名残をのこす制服は、その人の地位やポジションを一目で表します。ですから、制服を取り入れている組織には、明確な階級というものが残っています。ですが、一般的な社会においては、冠婚葬祭などの特別な場合を除き、着るものを制限されたりすることはほとんどありません。せいぜい、“TPO(ふさわしいもの)”という模範解答的なものがあるくらいです。
逆に言えば、服によるルールは、もはや存在しない社会になりました。もし仮に社会的地位があったとしても、それは周りの環境によって変わったり、あるいは自分の努力で選べる時代になりました。そうなると、服が表すものは、よりパーソナルなものになります。言い換えると、公的なものではなく、私的なもの。かつて社会的身分やステータスといった情報を伝えていたものは、個性やキャラクターなど、より個人の内面を表現するツールに変わったのです。
そして、この“ルールがない”ということが、現代の人が何を着ればいいのか迷う原因のひとつにもなっています。
ですが、逆にうまく利用すれば、服や身に着けるものによって、(自分は)こう見られたい、という情報を、意図的に相手にインプットすることもできます。つまり、着るものによってなりたい自分に変わったり、あるいはその場にふさわしい人を演出することも可能です。これが現代のキーワード、“やっぱり見た目が9割”ということになります。要は、自分が選び、着るものが、あなたを表すことになるのです。
高級ブランドの服を着る意味
では最後に、本日のテーマ、なぜ人は高級ブランドの服を着る(※注)のか、についてお話したいと思います。
単純にデザインがかっこいいから。というのも、理由のひとつでしょうが、実はもっと別な理由が3つあります。
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