沖縄、全国学力テスト「最下位脱出」の光と影

躍進を支えた県の元教育長「序列づけやめて」

効果はすぐに出た。1年後の2014年度テストで、沖縄県の小学校は全国最下位を初めて脱し、24位に躍進したのである。

「45位でも46位でもいいから最下位だけは抜け出してくれ、と思っていたので、24位との報告を受けたときは耳を疑いましたね。以前からの取り組みで教員の授業の力量も付いていたし、子どもたちの学力も付いていた。必要だったのは、やるきっかけ、起爆剤だったと思うんです」

その後、沖縄県の小学校は2015年度に20位。以後、13位→21位→17位→6位と上位圏を維持している。最上位の秋田県に教員らを派遣した過去は遠くなり、他府県の学校関係者から視察が相次ぐようになった。

「授業運営、ガチガチ」の批判も

全国学力テストに特化した取り組みには慎重な見方を示す研究者もいる。

琉球大教育学部の村上呂里教授(教育学)は「子どもたちの学力を向上させることは大切だし、私も力を注ぎたいと考えています」と前置きしたうえでこう指摘する。

「毎年ある学力テストに向けて現場が萎縮してしまっていないか、心配しています」

村上呂里教授(撮影:当銘寿夫)

沖縄県では、子どもの相対的貧困率が全国平均の約2倍という調査結果が出ている。村上教授は貧困と学力の問題を切り離すべきではない、との立場から次のように語った。

「さまざまな困難の真っただ中に置かれた子どもの存在に心身を傾け、総合的な発達を支える中で『学び』や『学力』を捉えることが何より大切ではないでしょうか。点数も1つの指標にはなるけれど、総合的な教育実践力の養成を見失ってはいけないと思います。文部科学省は学力テストの目的として『全国的に子どもたちの学力状況を把握する』を掲げていますが、そのためだけなら、テストも現行の『毎年、悉皆』でなくて、『数年に1回、抽出』で済むはずです。毎年、悉皆でやるから各都道府県や学校は自分たちの正答率が何位だったかを意識し、順位向上に追いやられてしまうんです」

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