沖縄、全国学力テスト「最下位脱出」の光と影

躍進を支えた県の元教育長「序列づけやめて」

「それに気づいたとき、全身の血が逆流するような思いになって。校長が代わったら、現場の先生が1年でこれだけ変わるんだ、と。そう確信しました。すべての校長とまでは言わなくても、大半の校長が変われば、沖縄県全体も変わるはずだ、と」

最下位脱出のために何をやるか。諸見里氏は2013年度後半の取り組みを1つに絞った。教育長として直接、県内の小学校を1校ずつ訪ねることだった。

「県教育庁がどんな施策に取り組んでも、学校現場に発奮を促す文書を出しても、『はいはい、また来ているよ』と右から左に受け流されていたと思うんです、結局。校長にもそういう人がいたと思います。そして何年も最下位が続くうち、学校現場では『学力テストの結果が悪いのは県教育庁の責任だ』という空気が蔓延していたように思います」

「これではうまくいかない。それまでの施策に魂を込めるには、学校を訪問し、私たちの気持ちを直接伝えるしかない、と。学校を訪問し、校長の意識を変える。校長の意識が変われば、先生方が変わる。先生方が変われば、子どもたちは絶対変わる。研修体制の刷新とか新たな施策とかではなく、学校訪問に注力することに決めました」

各校にデータ示し「ここが弱い」

公立の小中学校を管轄するのは、各市町村の教育委員会だ。市町村教委を飛び越えて、県の教育長が小学校を訪問するのはかなり異例と言える。そのために年度途中に新部署の「学力向上推進室」もつくった。

「もちろん学校には単に『頑張れ、頑張れ』と言いに行ったわけではありません。授業を見学した後は、推進室メンバーが校長や研究主任に対し、授業を見たうえでアドバイスをする。そして、過去のテスト結果のデータを示し、『この学校は算数でとくにこのへんの取りこぼしが大きい。県のテストでも同様の傾向が出ている。この分野に力を入れてほしい』などと具体的に伝えるわけです。推進室の職員は、私がびっくりするぐらい詳細に分析していましたね」

授業見学に40分、学力分析会に40分。諸見里氏は多忙な業務の隙間を縫い、計80~90分の小学校訪問を重ねた。2013年度後半だけで30校超。学力向上推進室の職員は120校余りを訪問した。

「最初のころは、校長、教頭たちも緊張していましたね。でも、回を重ねるうちに私たちの本気度が周辺の学校にも伝わっていったのか、歓迎ムードで迎えられることが多くなった。『学校全体で学力向上に取り組むんだ』という狙い、その雰囲気づくりには成功したと思いました」

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