松本:「管理職が全部チェックしなさい。それはあなたの管理責任だ」と言われちゃうと、管理職は仕事ができなくなっちゃいますね。
それをすると、管理職は「お前らを監視するためにオフィスに来なさい」としか言いようがないですから。
これは、仕事のやり方を抜本的に変えないと解決しないと思います。
テレワークに本当に切り替えられるかどうかは、「管理に対する考え方」と「現場の人たちへの権限委譲」ではないでしょうか。
野崎:会社は残業を減らしたくても、営業で「お前、成果出してないのにもう帰るのかよ」みたいな話はいまだにあります。
これは、性善説・性悪説という二分論ではないと思います。会社の風土もあります。
人事部には見えないからと言って、現場任せにするのではなく、人事部もデータを見て、何か問題がありそうなら、マネジャーを呼ぶのがいいと思います。
時間管理は、どんどんセルフマネージメントになっていくし、なっていくべきだと思います。
ホワイトカラーなのに時間で給料もらっているというのは、欧米と比べても、ちょっと独特です。本当は、そこにいちばん問題があるとわれわれも思っています。
とはいえ、「成果で評価すべき」という話だけすると、ブラック企業でサービス残業をしている人たちは減らないので、分けて考えないといけません。
テレワーク時代でも必要なアナログなもの
柘植 信英 ドコデモ代表取締役(以下、柘植):ブラック・ホワイト関係なく、優秀な人には仕事が集まる傾向がありますよね。そういう働きすぎを回避するには、ログデータは必要だと思います。
安達 徹也 Box Japan執行役員(以下、安達):僕は「いちばん必要なのはログですか?」と疑問に思っちゃいます。大事なのは、社員の顔色や話したときの反応の速さや遅さとかじゃないかなと思うわけです。
画面越しだと顔色が見づらいという問題はありますが、データよりも人と人のコミュニケーションのほうが大事だと思います。
野崎:チーム単位で見ると、安達さんのおっしゃる通りだと僕も思います。だから、本来、働すぎは勤怠の問題ではないですよね。
松本:データで難しいのは、「パソコンの前にずっと座って何かをしている」というデータが残っていても、何をやっているかがわからないということです。
例えば、ファイル名は「お客様の納入データ」でも、中身は「ギャンブルのオッズデータ」かもしれない。データは、いくらでも誤魔化しようがあります。唯一誤魔化せないのは、リアルな人だと思います。
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