「中学受験」親が子どもより先に音を上げる過酷 漫画「二月の勝者」が描く受験の現実(後編)
「どこにも受からなかったとしても順は順です…!」
<第4集>コミック帯文言「悔いのない受験をしたいなら、今です。」
中学受験の天王山、夏期講習が始まる。体調を崩す子どもも出る中、島津順と上杉海斗が取っ組み合いを始めた。原因は順が、「偏差値60以下の学校なんて学校じゃない」「そんなとこ目指してるやつらなんてまじゴミ」と言ったからだ。そのひどい言葉は、実はそっくりそのまま順が家庭で父親から日々言われている脅しだった。
第4集の注目生徒「島津順」
順は桜花ゼミナール吉祥寺校のトップ生。順の父親は、順の成績をパソコンで管理し、塾の宿題とは別に山のような問題集を順にやらせる。仕事から帰宅して、順が思いどおりの成果を出せていないと、母親を罵倒する。順もそれを知っており、母親を守りたいと思っている。
ストレスからある日、順が塾をサボった。それを知り、激怒する父親。真夜中にもかかわらず、順をたたき起こせと母親に怒鳴り散らす。順がベッドの中で恐怖に縮こまっていると、勇気を振り絞った母親が父親に言い返す。
「あなたは……もし順が、そういう学校しか受からなかったとしたら……順は人間以下だって言うんですか……? たとえ順が……どこにも受からなかったとしても、順は順です……!」
はえば立て、立てば歩めの親心。中学受験をするにせよ、しないにせよ、親は子に「もっと、もっと」と期待をかける。そして目の前のありのままの子どもが見えなくなる。中学受験生の親にありがちなことだ。しかし、中学受験をするからこそ、「どんな結果になろうとも、わが子はわが子」と確信を持って思える瞬間がやってくるという面もある。
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