「中学受験」親が子どもより先に音を上げる過酷 漫画「二月の勝者」が描く受験の現実(後編)

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第7集注目生徒「柴田まるみ」

桜花ゼミナールに遊びに来た卒業生の先輩の話を聞いて、最難関・女子学院に憧れを抱くようになったまるみ。夏合宿でも健闘した。にもかかわらず、お迎えに来てくれた母親に開口一番「JG(女子学院)なんて夢見てバカだった……あたしなんかが受かりっこない……!!」と弱音を吐くというネガティブキャラ。

模試の偏差値が上がっても、喜ぶ様子もない。自習室では同じ女子学院を目指す天才肌の直江樹里と自分を比べ、卑下してしまっているようだ。

まるみはつい弱音ばかり吐いてしまう

9月に入りまるみの母親は黒木に、女子学院志望からの撤退と、クラスの降格を申し入れる。緊急の面談が催され、黒木と佐倉が対応した。母親の考えを否定も肯定もせず一通り話を聞き終えた黒木は、佐倉にこう話す。「中学受験での『途中脱落』は……受験生本人よりも、親のほうが先に音を上げる」。今回は母親のメンタルを整えるために面談を行ったというのだ。

歯を食いしばるわが子を見守るのは平常心ではできない離れ業!?

同じころ、黒木の席替えが行われた教室の中では化学反応が起きていた。樹里が隣の席のまるみの長所を何気なく次々と指摘する。樹里はまるみのいいところをまねしたいから、週末に自宅で一緒に勉強しようと誘う。樹里の自宅で、まるみは樹里の意外な一面を知る。奔放に見える樹里だが、実は樹里も樹里なりに不安を抱えていたのだ。凸凹コンビの2人は、お互いを尊敬し励まし合う仲間になった。

樹里はまじめで丁寧なまるみを尊敬している

小学生女子は人間関係で簡単に成績が上下する

その様子を見て、黒木は珍しくほっとしたように言う。「『小学生女子は人間関係で簡単に成績が落ちる』が、その逆もしかり」。

10月、最終的な志望校についての面談が始まった。親子が違う学校を望んでいるケースも多いが、「意外とピンときてない保護者が多いんですよ。『学校に通うのは自分じゃなく子ども』だということを」と黒木は指摘する。

最終的に進学先を選ぶのは本人なのか親なのか

生徒たちの成績にも変動が。つねに成績トップだった島津順が、前田花恋にその座を奪われた。「時間が残されていないのは生徒だけではない……われわれにも時間がありません!」と黒木は桜花ゼミナール吉祥寺校の講師の面々にハッパをかける。

2月の入試本番まで残り100日を切ろうというタイミング。いやが上にも塾に緊張感が張り詰める。残された時間で黒木はどうやって生徒たちを合格に導くのか、そして黒木のもう1つの顔の正体は何か……。その答えは第8集以降で明かされるだろう。

おおたとしまさ 教育ジャーナリスト

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Toshimasa Ota

「子どもが“パパ〜!”っていつでも抱きついてくれる期間なんてほんの数年。今、子どもと一緒にいられなかったら一生後悔する」と株式会社リクルートを脱サラ。育児・教育をテーマに執筆・講演活動を行う。著書は『名門校とは何か?』『ルポ 塾歴社会』など80冊以上。著書一覧はこちら

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