つんく♂「僕が絵本作りに込めた母と子の絆」

敏腕プロデューサー・3児の父が語る子育て

自粛要請中に多くの学校が休校となりました。

インターネットの環境により教育格差が生まれたことに関して、上水、下水、ガス、電気などの公共料金と同じように、ライフラインとしてデータ通信の環境も、日本国中に広まれば良いのに、と思います。

「プリントを学校に取りに来てください」と言われると、メールで送ったら済むことなのに、何のために学校を休んでいるのか分からなくなりますよね。でも、「家にプリンターがない」「Wi-Fiがない」というご家庭もある。これは親の経済力の問題だけではなく、ライフラインとしての問題が大きいと思う。大きな震災の後、誰もがわかっていたことなのに、結果的にはなかなか改善(進展)出来なかった点ですね。

そのような課題が、今回浮き彫りになったと思いました。

新型コロナによる影響で、僕にとっていちばんデカいのは当然、ライブやイベントができなくなったこと。これはやっぱり大打撃。どんなに3Dが発展しても、生身とバーチャルのワクワクは、全く違います。生で観る漫才やコンサート、野球、サッカーなど…、これらができないのは、もったいないし寂しいですね。

でも逆に、今回オンラインで絵本を公表したことで、音楽にしても絵本であっても、「どんな場所でも全国一斉に伝えられる」ということを改めて実感しました。YouTubeやオンラインサロンなどを通して伝えられることがあり、諦めるのではなく、「このイベントに参加しよう」「この話を聞きに行こう」ということから、身近になっていくと思います。

ずっと無料、無償でモノづくりを続けるのは難しい

昔は、音楽も出版物も、CDはCDショップ、本は本屋に行って買うのが当たり前でしたが、今ではネットを経由してバンバン無料で買えてしまい、自分の欲求は十分満たされます。

無料であっても、何か心に刺激や感動を与えられるのであれば、書き手、作り手としては本望だと思う一方で、いつかどこかでそれが益にならなければ、ずっと無料、無償でモノづくりをし続けることは難しいでしょう。これまでの常識にない、新しい仕組み、枠組みの中で、益となる仕組みを創る必要があると考えます。

近代史のヨーロッパの音楽家のように、他のお金持ちをパトロンに迎え、経済的支援のもとに食べていくことしか生き道がなくなっていくのかもしれません。

クリエイターが、誰のためにものを創っていくのか誰がそれを支援するのか。これまでの30年とこれからの30年では大きく変わっていくように思います。いずれにしても、社会が健康で経済的でなければ、文化を育てていくのは難しいと思います。どうぞ、みなさま応援のほど、よろしくお願いいたします!(談)

YouTubeで公開した絵本動画の主人公の少年の声は9歳の次女が務めた。「練習はしませんでした。レコーディングしながら良いテイクが取れるまで繰り返しました。モーニング娘。たちのレコーディングと同じですね(笑)」(撮影:大江 麻貴)
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