つんく♂「僕が絵本作りに込めた母と子の絆」 敏腕プロデューサー・3児の父が語る子育て

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よくある男の子の現象と同じで、息子も昨日まで母の日に何かしようと思っていたわけじゃないのに、急に何かのスイッチが入って「母の日にママに何かを買いたい」と、いてもたってもいられなくなったのだと思います。その出来事があった日、僕は日本にいて彼らはハワイで過ごしていました。ハワイでは中学生未満の子どもは1人の外出が出来ないのもあって、彼のもどかしさの大きさも伝わってきて切なかったです。息子がもっと前もって準備するタイプの子だったら、こんなエピソードも生まれなかったかもしれません。

つんく♂さんが手掛けた初の絵本『ねぇママ? 僕のお願い』(双葉社)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

もともとは、今年のゴールデンウイークに発売するつもりで昨年から制作してきたのですが、新型コロナの影響で発売が6月19日(金)に延期となり、モヤモヤとする中で、絵本の発売を待たずに5月6日に絵本動画としてYouTubeで先に内容を発表することにしました。

これは、誰もが無料で見られるので、出版社の皆様からしてみればとんでもないことです。でも、とにかくいち早くお届けしたかった。新型コロナによる自粛で、ずっと家にいた皆さんに、「何か1つでも、刺激を与えられたら」という想いもありました。

YouTubeでこの絵本を読んでくださった方々からは「思わず泣いてしまった」「大切な気づきを与えられた」など、多くの反応を寄せてもらいました。懐かしい友人からも連絡をもらって、子どもたちにとってもよかったと思います。ハワイに住む友人を含め、海外の知り合いからも「他の言語バージョンは作らないの?」と連絡をもらったので、「確かに!母の日はアメリカ発祥だし!」と思い、英語バージョンもすぐに作りました。

絵本と音楽の伝達力の違いと作り方の共通点

今回、「絵本」というフィルターを通して、今までのように「歌詞」を書くというクリエイティブとは違う伝達力があると知りました。僕自身が絵を描けないことは悔しいですが、絵本制作は音楽と精通していると思いました。

最初にポエムがあり、そこに絵が載っていくわけですが、ある程度、ページ数や文字数を考えながら作るのは、歌詞(曲)を仕上げるのに似ていて進めやすかったです。これが普通の本や長文のエッセイとなると、一気に無限に広がっていくのでなかなか終わりがやってこず、1冊分書き終えた後でも修正も永遠にやれてしまう難しさがあります。

例えば山場に向けて徐々に盛り上がっていき、見せ場をつくることも絵本と音楽が似ている点です。

『ねぇ、ママ? 僕のお願い』では当初、子どもと母親の絵が、半々ぐらい出て来るイメージを描いていましたが、蓋を開けてみると子ども7に対して、母親が3ぐらいになりました。母親を絵にして出すと思った以上に存在感が大きくて、必要以上に目立つからそういう配分になったんだと思います。

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