つんく♂「僕が絵本作りに込めた母と子の絆」 敏腕プロデューサー・3児の父が語る子育て

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“我が子”であっても、人間の歴史を考えたらほぼ“同世代”。親はたかだか20~30年だけ早く生まれただけであって、どちらがエライとか、上とか下とか関係無いでしょう。実際は、今の時代にどんどん適応している子どもから、学ぶことばかり。そういう意味では彼らの成長とともに、もう一度青春を体験しているように思います。

子どもを「子ども」と思っていても、もう頭の中はしっかり「ほぼ大人」。彼らをしっかり人として「尊重」しないといけないと常々思っています。

とはいえ、やっぱり親の都合で「こうしろ。ああしろ。片付けろ」と言って、注意したり、先回りしてしまったりすることがあります。本当は失敗しないといけないことも、面倒くさいから先に答えを言ってしまうというか。

今ハワイに住んでいますが、ハワイでは、誘拐防止や虐待防止のため、子どもが1人で街を歩くことが出来ません。子どもを1人で外に行かせると、親が子育てをしていないとみなされてしまうのです。

消しゴム1つ買うにしても、日本であれば数百円渡して、「コンビニででも買っておいで!」と言えるけど、ハワイでは車に乗せて、一緒に買いに行かなければいけません。

なので、僕の子どもたちは、これまでずっと親と一緒に買い物していたので、たまに日本に帰った時に1人でコンビニに行って買い物をすることも簡単にできないし、当然、電車にも乗れません。本当はどんどん色々なことに挑戦させて、分からないことがあれば、自分で誰かに聞いて、乗り越えていく経験をもっとさせたいのですが。

「大いに失敗しなさい」という心の余裕を

スーパーで買い物したときも、卵が入った袋を息子が「僕持ってあげる」って言ってくれて、持たせると、案の定、卵グチャって(笑)ああ、持たせなきゃよかった、って一瞬思ってしまいましたが、その気持ちを尊重してあげるべきなんだと思います。そこで失敗させることで、「次から気をつけよう」って本人が学ぶんでしょうね。

「大いに失敗しなさい」という、余裕がほしいですね。実際はそうはいかないですが・・笑

自身の母の日の思い出を尋ねると「僕らの小さい頃はカーネーションを買うぐらいですかね? 近所の花屋さんで300円とかそんな値段で買ったような気がします」というエピソードを教えてくれた(写真:つんく♂さん提供)

子育ては本当に難しい。たとえば、アーティストのプロデュースは僕の思っているとおりに進めていけばすべて丸くおさまります。

でも子育てはすべて思い通りに行かないし、思い通りに行っても丸くおさまるとは限らない。だから、「子育て」と考えず、「親育てられ」くらいに思っていく感じですかね。

僕が40歳を過ぎてから、子どもたちのおかげでどんどん成長しているように思います。

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