このようなとき、親としてよく言ってしまうのが次のような返答です。
・学校は勉強だけじゃなくて、友だちと会って話をするとか、交友関係を作るための場でもある
・オンラインだけでは学べない実技教科なども学校では学べる
・学校行事なども学校だからこそ楽しめることで、部活動もできる
大方、以上の3つが典型例でしょう。つまり、友だちができる、勉強以外も学べる、部活も含めた学校行事がある、です。これらは確かに間違ってはいませんが、問題意識レベルの高い子は、このような返答を簡単に覆してきます。
交友関係は、ネットで十分。実技系の科目には興味がない。学校行事には関心がないし、部活もネットでもできることもある、と。
そうすると次に親は、実技系や部活にも力を入れないと学校の内申点が取れなくなる、高校進学が危うくなる……と心配になり、指摘します。すると、子どもは、高校は通信制のすばらしい学校があるから、そちらへ行くのでいいと返してくる可能性もあります(事実、通信制の高校ですばらしい学校もあります)。
この話の論点は、親も子もどちらも間違ったことを言っておらず、単に価値観の違いだという点です。そのような場合、相手を説得しようと思っている間は、解決はしません。
いったん、受け入れてしまう
しかし、親はどうしても、これまでの自分が育ってきた環境や経験から、そこで形成された思考の枠、価値観を子どもに当てはめ、説得しようとします。すると、トラブルが起こる場合があります。
では、このような子にはどのように答えていけばよいのでしょうか。
はじめに、子どもが言っていることを、「いったん、受け入れてしまう」ことをしてみてください。つまり説得しようとしない、ということです。
説得すればするほど、かたくなに子どもは自分の意見の正当性を高め、それはより堅固なものとなるでしょう。その結果、子どもが後々、自分の考えを変えようとした場合、自縄自縛となり、変えたくても変えられない状態に追い込んでしまうことになりかねません。そこで、子どもが自分の考えを変えることができる余地を残せるようにしてあげるといいでしょう。
例えば、「そもそも学校へ行く必要があるの? 家でこれだけ勉強できるのだから意味があるの?」と言われたら、「確かに意味ないかもしれないね」と答えます。
「こういう状態でなんとかなるなら、コロナが収まった後、そもそも学校に行く必要あるの?」と言われたら、「必要ないかもしれないね」と答えます。
「学校は受け身の一方で自主性も、と矛盾することを求められ、混乱する」ことに対しては、「それは混乱するわね」と答えます。
これを、「受け入れる」と言います。
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