コロナを経て急浮上した「2つの転職トレンド」 空前の売り手市場に明らかな変化が

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これまで地元出身の優秀人材は大学を卒業したら首都圏などの都市部に行ったまま戻ってこないのが当たり前となっていました。その状況に逆転現象が起こりつつあるのです。

まだ、大きな変化にまでは至っていないかもしれませんが、地方で経営する会社にはうれしい状況変化ではないでしょうか。

採用後も定着してもらうためのフォローがカギに

ただし、こうした、応募が急増する業種業界も安穏としてはいられません。景気が上昇傾向になれば、飲食業界のように人材の流出側になった業界でも、再び採用活動が再開します。これまで慣れた業界が恋しくなって「舞い戻る」決断をする人も出てくるかもしれません。

人事コンサルティングを行う立場からすれば、採用した人材が定着する仕掛けを準備しておくべきと考えます。慣れない環境への転職ですからオンボーディング、つまり職場環境に慣れてもらうための取り組みは丁寧に行うべきでしょう。

つい職場任せになりがちですが、そうなると対応にばらつきが出て、離職者を増やす可能性が高まります。会社に対するロイヤルティーや仲間意識を高めるための飲み会の開催……といきたいところですが、今はコロナで難しい状況です。感染予防をしながらコミュニケーションを取る方法について知恵を絞りつつ、一方で内容としては、前職の業界の経験が生かせる部分を見いだしてあげるといったフォローも大事かもしれません。

例えば、飲食も運送も、それぞれ安全管理の面が厳しい業界です。前職の経験を踏まえて、職場に対する改善提案をしてもらうよう、促してみるのもいいかもしれません。

会社に対する貢献を通じて帰属意識が高まり、離職防止につながると考えます。都市部から地方の企業への転職であれば、地元に対する愛着を高めるための市民活動への参加を勧めるのもいいかもしれません。

こうした取り組みを重ねることで異業種転職への緊張が緩和され、勤務する会社や業界に対する愛着が高まっていくのではないでしょうか。

知人が経営する運送会社では、パーソナリティーチェックをお互いにできる分析ツールを社員に提供しているとのこと。お互いの人柄を知る機会を通じて、対話を増やし、職場のつながりを高めるようにしているのだそうです。結果として、職場満足度調査をすると、信頼関係のポイントが上昇。離職率も改善したそうです。

今後もコロナショックの余波は続きますが、人材を採用できた業界や会社は、責任をもって彼らが活躍できる場を用意してほしいと願います。

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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