温室効果ガス25%削減に挑む--鉄鋼業界、新技術の実用化を加速

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東京製鉄の新工場はCO2排出が4分の1

高炉と比較してもともと環境負荷の小さい電炉メーカーでも、環境負荷軽減へ向けた取り組みが始まっている。

愛知県渥美半島。トヨタ自動車田原工場と海を挟んで向かい側に出現したのが東京製鉄の新工場、田原工場である。09年11月に圧延からスタートし、12月には出荷も始めた。10年4月には電炉を含む製鋼工場も操業が始まる。自動車向けも狙う薄板工場だ。

間接部門を徹底的に絞った低コスト経営で、無借金体質も自慢だったが、09年11月に200億円を借り入れた。うち100億円分は無利子対象。新工場で製造する鋼板の1トン当たりCO2排出量は他社製品と比べ4分の1の0・5トンに抑えられており、これが環境省の無利子融資制度のお眼鏡にかなったのだ。

電炉メーカーだけに田原工場で使う材料は鉄スクラップである。しかも低品質で安い鉄くずでも使えるよう初期投資にカネをかけた。安いスクラップからでも、高級鋼の自動車用鋼板を作ろうという挑戦だ。

通常、電炉メーカーが作るのは棒鋼など建材が中心。東京製鉄はこの常識を破り薄板鋼板の生産を始めた。かつてH形鋼戦争で高炉大手に勝利したが、再び高炉の得意領域に挑戦しているのだ。

愛知といえばトヨタ自動車を頂点とする自動車産業の集積地。「大きなマーケットであり、自動車に合う材質、品質を作っていくが、商業ベースではどうか」(小川卓男・取締役田原工場長)。これまで時価取引が基本だったが、1年間販売価格を固定する仕組みも取り入れることになりそうだ。「認証を取るのに年数がかかるなど、自動車業界は独特の苦労がある」(大堀直人常務)。今夏にはJIS規格は取得する予定。鋼板営業を強化し、新しい顧客を開拓中だ。

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