温室効果ガス25%削減に挑む--鉄鋼業界、新技術の実用化を加速

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製鉄法そのものを変える神鋼の「ITmk3」

さらに、製鉄法そのものの革命の芽もある。米国ミネソタ州ホイットレイクス。ここで始まったのが、神戸製鋼所が開発した新製鉄法、ITmk3(マークスリー)である。

鉄鉱石と石炭を回転炉に入れて、10分で鉄分96%強の粒状の鉄(アイアンナゲット)にしてしまう製法だ。この鉄粒は銑鉄の代替物にもなる。販売先はすでに、合弁相手の米国電炉大手スチール・ダイナミックス社へ100%納入が決まっている。

これが成功すれば、電炉以外での利用も見えてくる。考えられるのは高炉で生まれる銑鉄の代わりに転炉に入れるアイデア。高炉に比べれば生産量はわずかだが、生産調整が容易という特長がある。特に高炉を新設する場合、付帯設備も含めれば1兆円にも達するほど投資は重い。それが、この炉なら270億円ほどで足りる。また、鉄鉱石の塊を運ぶ際、その4割は酸素などムダな成分。海外から大量の鉄鉱石を運ぶ際の燃料コストも抑制できる。

日本の鉄鋼業界は研究開発に依然積極的で、大幅減益に陥る10年3月期も大手4社で1300億円超の研究開発費を計上する。革新的環境技術への挑戦が続く。

(山内哲夫 =週刊東洋経済)

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