長年停滞したAIに、進化をもたらした男

グーグルのAIの中核をなす技術も開発

コンピュータが「ネコ」を認識できる能力を確立

一方、世界のテクノロジーの最先端にいる人々の間では、ングの名前はAIで最近のブレークスルーを起こした人物として知られている。AIは何十年も前から研究が行われてきた分野だが、ングの研究によってまったく新しい可能性が開けたのだ。

ングのAIは、コンピュータがデータを基に自分で学習していくものだ。最近は「ディープラーニング」という用語で知られている分野である。たとえば、最初に行ったのは、コンピュータが自分で「ネコ」の画像を認識する能力を確立したことだった。

これまでならば、ネコの外見にはどんな特徴があるのかをコンピュータに覚えさせ、それに合致するものを選び出すという方法でコンピュータはネコを認識していた。しかし、ングの方法は、何千万枚ものランダムな画像をコンピュータに見せる。コンピュータはそれを見ていく中で何度も繰り返し出てくる、似たような画像を認識するようになり、ついにはそれを同じ分類に属するものとして理解するようになるのだ。「ネコ」という呼び名を与えるのは、その後で行えばいい。

この実験は、人々がインターネットに上げたユーチューブの画像から任意に抽出した静止画を用いたという。ネコがわかるようになったということは、それだけインターネット上にはネコの画像が多いことの証しでもあるのだが、もちろん、このAIの能力はネコの画像だけに限ったものではない。

もっと画像の数を増やしていけば、人の手、消防車、教会など、個々には異なるが共通性の見いだされる画像を同じものとして認識できるようになる。ちょうど人間の子供が同じ対象を何度も目にすることで、その存在を認識していくのと同様だ。

ディープラーニングは、画像だけではなく、音声認識や言語翻訳などにも使える重要な技術で、これからのコンピュータやインターネット利用で大きな進歩を約束するものと言われている。

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