長年停滞したAIに、進化をもたらした男 グーグルのAIの中核をなす技術も開発

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グーグルとの奇跡のタッグ

ングは、スタンフォード大学でAIラボを率いている。ディープラーニングを実際に実験するには大量のコンピュータ処理能力とデータが必要になり、それを提供してくれたのがグーグルだった。そこでグーグル・ブレーンというプロジェクトを行い、上記のような成果を生んだわけだが、この技術は今やグーグルの検索や画像検索、翻訳などに用いられている。

実は、AIは1950年代に本格的に着手された歴史ある研究分野なのだが、途中で大きな壁にぶちあたって長年停滞していた。最近、AIへ再び注目が集まっているのは、ングの研究のような新しいアプローチが出てきたことと、コンピュータの処理能力が以前とは比べものにならないくらい高まったことが背景にある。

そして、世の中がAIの力を欲していることも無視できない。自律走行車やロボット、スマートフォンのバーチャル・アシスタント機能、スマート家電など、AIによって実現する新しい領域、われわれの生活や仕事を助けてくれる分野がたくさん控えているのだ。そのAIの火を再び点火させたのがングなのである。

ところで、ングのアプローチを知りたければ、コーセラに「機械学習(Machine Learning)」という彼の講義がアップされている。これにアクセスすれば、AIとコーセラの両方をじっくり学ぶことができるはずだ。

 

瀧口 範子 ジャーナリスト

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たきぐち のりこ / Noriko Takiguchi

フリーランスの編集者・ジャーナリスト。シリコンバレー在住。テクノロジー、ビジネス、政治、文化、社会一般に関する記事を新聞、雑誌に幅広く寄稿する。著書に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか? 世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』『行動主義:レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家:伊東豊雄・観察記』、訳書に『ソフトウェアの達人たち:認知科学からのアプローチ』(テリー・ウィノグラード編著)、『独裁体制から民主主義へ:権力に対抗するための教科書』(ジーン・シャープ著)などがある。

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