大学「オンライン講義」はどう行われているのか 長所生かし緊急事態宣言解除後も普及進む

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講義の実例を発表した、大学院経済学研究科の古谷豊准教授は、「大人数が出席するオンライン講義で、どうすれば教室の授業のような臨場感や参加意識を持ってもらえるかが課題だった」と話す。

担当する「外国書講読」の授業は、例年10人ほどしか履修していなかったが、今年はなぜか138人もの学生が履修した。「『Google Meet』を使って講義をしたら、学生は大人数の講義に恥ずかしがってしまってカメラをオフにする。顔も見えない、声も聞こえない画面に向かって、1人でしゃべっている状態。これでは私自身も授業をしているという実感がなかった」(古谷准教授)と吐露する。

そこで投入したのが、Google Meetの「nod.」機能だ。インストールすると、SNSやニュースサイトで使う「いいね!」や、拍手や挙手などアイコンで感情や反応を表現することができる。このツールを使って講義を進めると、少しずつではあるが学生がリアクションしてくれるようになり、講義への理解度がわかるようになった。古谷准教授は「学生も授業に協力したいという気持ちはある。無理強いはしていないが、今のところ4割ぐらいの学生が使ってくれている」と効果を感じている。

ペン入力ソフトで「黒板に書いている感じ」を演出

さらに「黒板に書いている感じ」を演出しようと「OneNote」というソフトも取り入れた。ExcelやWordと同じOffice系のソフトで、ペン入力ができるタブレットと組み合わせることで、教材に加筆しながら授業ができる。文字も黒板やホワイトボードに手書きしたような温かみのあるもので表現できる。画面に資料を提示しながら、ペンを使って印をつけたり、黒板のように何もない状態から、書き込みながら授業を進めたりと「見せ方」も工夫している。

シンポジウムが盛り上がったのが、古谷准教授がオンライン講義を行う自身の写真を紹介したときだ。Google Meetを映し出すディスプレー、OneNoteを表示して書き込むためのタブレットをつなぎ、マイクはラジオの収録などでみかける、コンデンサーマイクを使っている。さながらスタジオといった写真に教員たちから「役者ですね~」「わかりやすい!」といったコメントがついた。

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