Zoomを使うのは初めてという学生がほとんどだが、戸惑う様子はない。次々とどんな雑誌にしたいかアイデアを出していく。少人数のグループだと話しやすいようだ。「早く会いたいね」という本音も漏れる。木村さんたちは次の講義までに、無料通話アプリ「LINE」のグループでレイアウトを考えることを決めた。
学生の岡田谷沙羽さんは「教室だと自分の考えを発言することに躊躇してしまうが、オンラインだといい意味で空気を読まずに発言できた」と振り返る。岡田谷さんのように「オンラインのほうが人目を気にせず発言できる」という学生は少なくなかった。
少しの音や画像の乱れは気にしない
追手門学院大学は4月上旬からオンラインによる講義を開始、オリエンテーションは中止となったが、ほぼ予定通の学事日程で講義を進めている。
国際教養学部の講義は、英語の啓発ポスターを作成するという内容で、学生たちはノートやiPadなどに書いたポスターをパソコン画面に映し出しながら発表していった。途中、音声や画面が途切れる場面もあったが、講義を行う同学部の松宮新吾教授は、「少しの音や画像の乱れは気にしないで進もう」と呼び掛ける。
この日が2回目の講義とあって学生も慣れた様子で、「先生、音が聞こえません」などとチャット機能を使って、和気あいあいと進んでいる印象だ。講義に出た2年生の男子学生は「ずっと家にいてストレスがたまる中、みんなの顔を見ることができるだけでほっとする」と話す。
「オンライン講義は学び直しや、地域による学習格差の是正につなげることができる」。取材では多くの教員がこうした共通の考えを持っていた。
産業能率大学の林巧樹入試企画部長は「キャンパスを持たず、4年間で7都市を移動してオンラインで学ぶ、米国のミネルバ大学のような大学が日本でも誕生するチャンスになるのでは」と期待する。
緊急事態宣言が解除され、6月から通常通りの対面授業に戻る大学も出始めているが、ポストコロナ時代は対面型講義とオンライン講義のそれぞれのよい部分を組み合わせて、新しい学びが生まれることは間違いない。
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