オンライン講義は、動画を使えばライブ感は出るが、データ通信量が増えてしまい、契約した通信量に達して利用制限がかかる「ギガ不足」が指摘されている。すべての学生のインターネット環境が整っているわけではないため、各大学はWi-Fiルーターの無償貸与や、大学のPC教室を提供するなど対応策をとっている。
では、リアルタイム型の講義の受信データ量は何で決まるのか。東北大学サイバーサイエンスセンターの菅沼拓夫センター長は「データ通信量は送受信の方法、ネットワークや受信端末の状態、動画を送信する人の数などの多くの要素で決まる」と説明する。
菅沼センター長は、オンライン講義でどのぐらいのデータ量を使うのかを調査。有線やWi-Fi、LTE/4Gなど複数のネットワークと、PCやタブレット、スマートフォンといった端末を組み合わせ、Google MeetやZoomなどで90分間の講義で使用する受信データ量を実測した。実測データは学内のみの公表だが、ウィンドウを最小化することで受信データ量を減らせること、動画は教育効果が大きいと判断した場合は臆せず使うなどのポイントを挙げる。
また、「ギガ対策」と並んで、検討課題に上がったのが1学期の学生の評価をどうするかという点だ。オンライン上の一斉テストの場合、学生が使うパソコンなどのトラブルが起きる可能性もあるため、公正とは言いがたい。8月には評価をつけなければならないため、今後、どのような評価方法が望ましいのか検討する。
東北大学が所在する宮城県は、既に緊急事態宣言が解除されているが、大学は当面、オンライン講義を継続するとしている。
Zoomの画面越しにディスカッション
一方、学生はオンライン講義をどう見ているのだろうか。産業能率大学と追手門学院大学の講義に参加させてもらった。
産業能率大学の人気講座「エディター養成プログラム」は、プロの編集者が講師になり、学生が4人ずつのグループに分かれ、7月までに40ページの雑誌を作るという内容だ。
最初の講義は4月下旬、Zoomを使って行われた。講師は元大手出版社で雑誌編集に携わった、フリーランス編集者の平城好誠氏。45人の学生に向かって雑誌を作るポイントや狙いを説明した後、Zoomの機能を使い、グループで話し合いが始まった。「親が見ているこの雑誌のロゴが格好いいんだよ」。2年生の木村帆南さんは、自宅にあるライフスタイル雑誌の表紙を次々とウェブカメラの前に映し出して、メンバーに見せた。
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