NHKのリモートドラマにポカンとした人の目線

そのこだわりも「独りよがり」にしか見えない

各局のテレビマンたちに感想を聞いても、「『新しいことをやろう』という姿勢はいいと思いますが、映像の質が落ちてしまうのなら、もっと面白い物語にしたほうがいい」「俳優にこれほどの負担を強いてこのクオリティなら、やらないほうがいい」などの厳しい言葉が返ってきました。NHKはリモートドラマの制作理由に「コロナ禍の今だからこそ、最高のエンターテインメントをお届けしたい」と掲げていますが、現状では照明、美術、ヘアメイクなども含めて、質の面で疑問符をつけられているのです。

さらにNHKは「“今だから”こそ作れる新たなドラマを!」「こんな状況だからこそ生まれた物語」というフレーズも掲げていますが、これに視聴者やテレビマンたちから「今さら遅い」というツッコミの声が上がっていました。

NHKのリモートドラマは最後発

第1弾は5月4日、5日、8日に放送されましたが、ネット上には4月からさまざまなリモートドラマ(演劇、映画)が公開されていました。

以下に主なものを挙げていくと、すべての活動をオンライン上で行う「劇団テレワーク」が4月5日に「ZOOM婚活パーティー」をYouTubeに公開。放送作家の鈴木おさむさんが4月13日に「せーの」をYouTubeに公開。劇作家の根本宗子さんが4月17日に「あの子と旅行行きたくない。」をFilmuyで配信。一度も会わずに活動する「劇団ノーミーツ」が4月19日から月内だけで十数本のリモートドラマをYouTubeに公開。

映画監督の行定勲さんは4月24日に「きょうのできごと a day in the home」をYouTubeで公開し、有村架純さん、柄本佑さん、高良健吾さん、永山絢斗さんら豪華キャストが出演して話題を集めました。2年前に大ブームを起こした映画「カメラを止めるな!」の上田慎一郎監督も、5月1日に「カメラを止めるな!リモート大作戦!」をYouTubeで公開。いずれもNHKのリモートドラマより、公開までのスピードが早く、本数も多く、長さでも上回るものが多かったのです。

なかでもスピード感の違いを象徴していたのが、鈴木おさむさんのアクション。鈴木さんは4月7日の緊急事態宣言を見てリモートドラマを着想し、その日に脚本を書いて俳優に打診して、わずか5日間で完成させたそうです。この事実が示すのは、「テレビはスピードや量でネットに勝つのは難しい」「やはりドラマは質の高さで勝負したほうがいい」ということ。知人のある民放テレビマンは、「NHKのリモートドラマは質もスピード感も中途半端で、実力者をそろえたのにもったいない」と語っていました。

次ページ「赤字覚悟」と「受信料」の決定的な違い
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
  • コロナ後を生き抜く
  • コロナショック、企業の針路
  • 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • 「非会社員」の知られざる稼ぎ方
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
銀行 地殻変動<br>先で待つ「不良債権地獄」の恐怖

コロナ危機を受け、銀行は政府の支援の下、積極的に「傘」を差し出し、融資をしています。しかし融資先には「危ない企業」も含まれ、下手をすれば不良債権によって屋台骨を揺るがしかねません。自ら大きく変わり始めた銀行の近未来を占います。