NHKのリモートドラマにポカンとした人の目線

そのこだわりも「独りよがり」にしか見えない

しかし、柴咲コウさん、ムロツヨシさん、高橋一生さんは、コロナ禍で外出自粛している本人の役で出演しましたし、松下洸平さんは休業中の居酒屋経営者、桜庭ななみさんは在宅勤務中のOLを演じました。「外出自宅や仕事ができないことに悩まされる人々と痛みを分かち合いたい」という制作サイドの意図は理解できますが、現在の視聴者がテレビに求めるものは、そこではないでしょう。

ネット上の声を毎日見ていると多くの人々が、「リモートではなく自由に外出できて、ソーシャル・ディスタンスなどを気にしなくてもいい生活に戻りたい」と思っている様子が伝わってきます。ただでさえテレビは朝から深夜まで報道・情報番組で新型コロナウイルス関連の重苦しいニュースを扱い続けているのに、何にも考えずに楽しみたいドラマまで、それを感じたくないのでしょう。だからこそ、「リモートドラマしか撮影できない」という苦しい現状ではなく、「再放送でもいいから元気が出るようなドラマが見たい」という声が多くを占めているのです。

「今、NHKが注力すべきは報道」の声

ドラマだけでなくフリーで映画も手がける知人の演出家が、「NHKが今、頑張るべきところはリモートドラマではないと思う」と言っていました。「こういう時期だから、より一層、報道番組に力を入れてほしい」ということなのでしょう。

実際、連日「NHKニュース7」は20%弱、「ニュースウォッチ9」は10%強もの世帯視聴率を記録していることからも、「視聴者がNHKに何を期待しているか」は一目瞭然。「視聴者を喜ばせるためにリモートドラマを作ろう」という姿勢は一見、献身的な印象を受けますが、肝心の視聴者は「ドラマは民放やネットに任せて、その意識の高さをもっと報道に生かしてほしい」と思っているのではないでしょうか。

最後に話をリモートドラマに戻すと、制作サイドが幅広い表現ができないことに加えて、視聴者サイドに「プライベートで見るドラマの中まで制限された日常を見せられたくない」「ネットならこれくらいでいいけど、テレビでは質の高いものを見たい」という気持ちがある以上、各局で量産されることはないでしょう。

また、苦しんだ人や亡くなった人が多いため、平時に戻ったあとも東日本大震災のときと同じように、ドラマでは新型コロナウイルスを彷彿させる表現に最大限の注意が払われるはずです。

5月30日、6月6日に放送される第2弾が、坂元裕二さんの脚本と豪華キャストの熱演でどんなに素晴らしいものになったとしても、「深夜帯の短時間放送で見る人が少ない」こと。「むしろリモートではない彼らの作品をゴールデンタイムで見たい」と感じること。「けっきょくリモートドラマのニーズが高まるとは考えにくい」こと。どこをどう見ても、「NHKがリモートドラマにこだわる理由がわからない」ことが、放送前から否定的な声が飛ぶ、むなしいムードにつながっているのでしょう。

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