このコロナ禍でもそうした自由度を活用した取り組みが目立つ。各地のコロナウイルスの感染者数の情報も、サブチャンネルでつねに文字放送として観られるようにしたり、配信済みのビデオもチャンネル内で視聴できる。

いわゆる「3密」を避ける制作体制も敷く。テロップを流すための設備を操作したり、映像を流す「送出」と呼ばれる業務に関わる人員は最低限の人数だけに抑え、キャスターやコメンテーターも、「Zoom」などのビデオ会議ツールを使って出演する。自宅で緑色の布を背景に掛けて「合成出演」するという取り組みも進めている。
ニュースでの集客を収益化できるか
一方、ニュースチャンネルではアベマの収益源である広告の配信は少ない。実際、山本氏は「ニュースチャンネルで売り上げを大きく上げることは主眼ではない。ユーザーを集めたり、メディアとしての信頼性を上げたりするのを優先している」と話す。
アベマ全体としての課題はニュースでの集客をどれだけ収益化できるかだ。アベマ開局以来、サイバーエージェントのメディア事業は制作投資がかさみ、2017年度以降、毎期200億円前後の営業赤字を計上している。
ニュースから入ったユーザーを、広告枠の多いドラマなどのチャンネルでの視聴や、年内に100万人を目指すオンデマンド配信の有料会員(月額960円、3月末で67万人)への登録につなげる必要がある。2020年度はそれらの収入増で20~30億円の赤字縮小を見込むが、投資額が変わらなければ、黒字化達成は遠いままだ。
首都圏でも緊急事態宣言が解除された中、巣ごもり需要の追い風がなくとも、アベマでの視聴習慣をどこまで定着させられるかが重要となりそうだ。
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