瀧本哲史「社会を変えるのはいつの世も若者だ」 明治維新は20代・30代主導で成し遂げられた

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たとえば、超有名な天動説から地動説への大転換があるじゃないですか。ガリレオ・ガリレイとかの。あれって、どうやって起きたと思います?

どういうふうに、みんなの考え方がガラリと変わったんだと思います? じゃあ、そこの方。はい。

生徒1「学会とかで議論して、認められた?」

なるほどなるほど、非常に良い答えですね。ありがとうございます。他にいますか? はい、あなた。

生徒2「古い学者がみんな死んじゃって……」

そう、そう。そうなんですよ。

クーンはですね、地動説の他に、ニュートン力学やダーウィンの進化論など、科学の歴史上で起きたいろんな科学革命を調査・研究した結果、たいへん身も蓋もない結論に達してしまったんですね。

ふつうに考えれば、天動説を唱える人に対して、地動説の人が「こうこう、こういう理由で天動説は観察データから見るとおかしいから、地動説ですね」って言ったら、天動説の人が「なるほどー、言われてみるとたしかにそうだ。俺が間違ってた。ごめんなさい!」っていうふうに考えを改めて地動説になったとか思うじゃないですか。

でも、クーンが調べてみたら、ぜんぜん違ったんですよ。天動説から地動説に変わった理由というのは、説得でも論破でもなくて、じつは「世代交代」でしかなかったんです。つまり、パラダイムシフトとは世代交代だということなんです。

地動説が出てきたあとも、ずっと世の中は天動説でした。古い世代の学者たちは、どれだけ確かな新事実を突きつけられても、自説を曲げるようなことはけっしてなかったんですね。

パラダイムシフトの正体

でも、新しく学者になった若い人たちは違います。古い常識に染まってないから、天動説と地動説とを冷静に比較して、どうやら地動説のほうが正しそうだってことで、最初は圧倒的な少数派ですが、地動説の人として生きていったんです。

で、それが50年とか続くと、天動説の人は平均年齢が上がっていって、やがて全員死んじゃいますよね。地動説を信じていたのは若くて少数派でしたが、旧世代がみんな死んじゃったことで、人口動態的に、地動説の人が圧倒的な多数派に切り替わるときが訪れちゃったわけですよ。結果的に。

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