ならば、来年はどうしようか?と考え始めている人事部も出てきているかもしれません。集合型に戻るのか、それともリモート研修を継続的に活用するのか?思案のしどころです。人材開発のあり方を転換させる機会とも感じています。どうなるのか? みなさんと考えてみましょう。
新卒採用した社員向けの研修を行わない会社はない……と言っていいでしょう。HR総合調査研究所の「新入社員教育」の調査結果でも、入社時の導入研修をしているのは93%。最近は早期に現場配属される傾向が出てきていますが、それでも1カ月から3カ月程度は導入研修を続けます。みなさんも長い研修に辟易した記憶があるかもしれません。でも、その辟易した研修が社会人としての基礎になっているはず。
一方で中途採用の社員は即戦力ということもあり、導入研修は短期間。すぐに現場に配属してしまう会社も少なくありません。そう考えると新卒採用された社員が大事に育てられているのがよくわかります。
ところがコロナの影響で導入研修がリモート対応となりました。リモートが「いい」のではなく、致し方なく選んだのです。後述しますが、主催者である人事部も研修効果が得られるかどうかの目安は感じているようです。ただ、「それでいいの?」と違和感を抱いている意見も耳にします。
製造系企業の人事部に勤務しているSさんは「一緒に集まることでしか得られない学びがあるから、来年は集合研修に戻すつもり」と回答。集合型でしかできない研修の代表としてグループワークをあげていました。
入社したばかりの社員同士で親睦を深める目的も含めて、自社への理解を深めるテーマ等でグループワークがよく行われます。こうしたプログラムをリモートで行うのは難しい。だから、リモートでの実施はコロナによる緊急避難的な対応でしかないと断言します。
別の会社の人事部の担当者は、入社して間もない社員が在宅で社会人としてのマインドを醸成できたのか、不安を感じていると語っていました。集合研修が行える状況になれば、改めて、実施をする……と話してくれました。
リモート型ならではの利点
こうした意見が多く聞かれることを考えると、結局、リモート型の導入研修は定着しないのでしょうか? リモートによる新卒プログラムの告知情報を眺めると「一度に集まることがない」「研修会場の手配が不要」「出張、宿泊費用がかからない」と予防面・費用面の優位性が謳われているものが大半。それだけしか優位性がないのなら、コロナ終息後はすべて集合型に戻るとしか考えられません。
でも、リモート型の利点はそれだけなのでしょうか?
筆者はハイブリッドでリモート型の活用は続けるべきと考えます。その理由はリモート型ならではの利点があるから。
例えば、注目してみたいのがサイバーエージェントの取り組み。人材開発で新しい取り組みを果敢に行う企業として有名ですが、コロナ対応で行ったフルリモートの新卒研修をHPに公開しています。講義形式だけでなく、グループワークなども加えたプログラムが紹介されています。
そこから見えてきたリモート型の利点は、反復学習や個別指導が簡単なこと。履歴から把握できる理解度や習熟度を鑑みて、プログラムを個別提供することも容易のようです。
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