年金開始「60歳vs.65歳」、受取り額逆転は何歳か 繰り上げ受給の「落とし穴」はいくつもある
本来65歳から受けられる年金について60歳0カ月(30%減額)で繰り上げ受給した場合の累計額に、65歳で受給を開始した場合の累計額が追いつくのは、76歳8カ月時点になります。これより長生きすれば65歳開始のほうが累計額で多くなる計算です。
なお、繰り上げの1カ月あたりの減額率は0.5%から0.4%へ改正される予定(2022年4月を予定)ですが、その場合5年繰り上げ(24%減額)の累計額に65歳受給開始の累計額が追いつくのは80歳10カ月となります。
繰り上げ請求したら、何があってもキャンセル不可
これが繰り上げ受給制度の基本的な特徴で、減額率の改正がされると、逆転年齢が後になる分、繰り上げがしやすくなるように見えますが、ほかにも多くの注意点があります。
年金は月割りで計算されますが、繰り上げ請求をした場合、本来の支給開始年齢到達日ではなく、繰り上げ請求をした日に老齢年金を受給する権利が発生し、繰り上げ請求した日の翌月分から支給の対象となります。そうして、減額された年金の受け取りが始まるわけですが、当然のことながら、繰り上げ請求を行うと、後で取り消しができず、後から繰り上げなしに変更することもできなくなります。
繰り上げを考える時点で収入が少なくても、あるいは年金を早めに受け取りたいと考えても、生活状況や考え方が近い将来に変わることもあります。繰り上げ後の在職期間中(厚生年金加入中)に給与・賞与が多くなった場合、収入は増える一方、繰り上げで減額された老齢厚生年金が在職老齢年金制度によりさらに減額されることもあります。
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