元外資系金融エリートの転職、なぜ中国へ? 中国語が話せないなら、現地で勉強しながら就職先を探せばいい!

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元外資系金融エリート、ゼロからのスタート

――大内さんと中国との関係は?

2010年に北京に留学に来まして、中国歴はまだ4年ですから、実は比較的最近なんです。もともとは、外資系投資銀行に勤務していました。リーマンショックのあとは、事業環境が急速に悪化していくのを肌で感じました。世界経済における大転換が起きている、といった感じでしょうか。

当時、大型景気対策によって、早々と景気回復を実現しようとしていたのが中国で、そこで確信したんです。未来の世界経済を牽引するのは中国を筆頭とするアジアの新興国であろうと。そして、中国のMBAに飛び込んでやろうと決意しました。中国語はまったく話せなかったので、中国のMBAの中でも英語で授業が行われるところを選んで。これが中国との最初のつながりですね。

――外資系投資銀行を辞めて……。いわゆる王道キャリアとは少し違って見えますが、中国のMBAはどうでしたか?

私が通った北京の長江商学院は、アジア一の富豪・香港実業家の李嘉誠氏が設立した民営の新興ビジネススクールです。授業は中国語ではなく、英語で行われます。日本ではあまり知られていませんが、5000人を超える卒業生が中国全土で起業したり、有力企業のトップとして経営を行っていたり、起業家精神にあふれた中国トップMBAのひとつです。

そもそも、中国はまだ発展途上の国なので、市場環境の変化のスピードが速く、ビジネスチャンスが多いんです。だから、起業家精神が非常に強い。起業家でなければ人にあらず、と言ったら大げさですが(笑)、クラスメート60人中に5人は卒業後に起業、近い将来に起業しようという意欲をクラスの半数以上が持つ、といった具合です。

中国語の特訓を、1日10時間

――「人にあらず」ですか(笑)。とはいえ大内さんは起業をせずに、卒業後、中国で就職活動をされたわけですが、現職へはどのようにたどり着いたのでしょう?

私の通ったMBAコースは1年間と短かったため、卒業後に就職活動を行いました。私は大学在学時に日本の公認会計士試験に合格し、大学卒業後は投資銀行やベンチャー企業で6年間の実務経験を積んできたので、そういったM&Aや財務の専門性が生かせる仕事を探そうとは思っていました。

日系企業に入って中国勤務というポジションを得ようと何社も応募しましたが、中国語の能力不足や中国での就業経験ゼロのため、オファーはゼロ。応募する企業を選り好みしていたところもありましたが、採用か不採用かの通知さえ来ないときはさすがにがっくりきました。

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