立ち会い・里帰り「不可」に直面する妊婦の苦悩 コロナの影響で母親学級も中止に不安募る
出産は幸せと背中合わせに、大きな不安を抱えた命がけの一大イベント。女性たちは10カ月かけてお腹で赤ちゃんを育む間に、心や身体、環境を整え、出産当日を迎える。
しかし、新型コロナウイルスの流行により、産前産後の準備も、出産当日の環境も、当初の予定や本人の希望とは真逆の緊急の対応を迫られる人が続出している。ありとあらゆる場面で自粛や延期が求められているが、出産だけは待ったなし。妊娠中の女性たちは不安な毎日を過ごしている。
里帰り出産の受け入れ拒否の現実
神奈川県在住で、6月に第2子の出産を控える前田奈美さん(仮名・28歳)は当初から里帰り出産を予定していたが、帰省4日前の4月10日、受け入れ拒否の連絡を受けた。
「緊急事態宣言が出る前から、毎日不安でSNSでいろいろ検索をしていて、拒否されたという話も目にしていました。でも、私は病院から『帰省後2週間自宅待機して、何もなかったら受診して』と言われていたのでギリギリ大丈夫なのかと思っていました」
しかし、国の緊急事態宣言を受け、県の方針で受け入れができなくなった。電話口での申し訳なさそうな口ぶりと、前田さん自身のためにも神奈川で出産をした方がいいとの忠告に、涙を堪えながら話を聞くことしかできなかったという。
前田さんは、2歳になる第1子のときも里帰り出産した。
「夫は職業柄夜勤も多く、在宅ワークもできません。前回の里帰りでは、母はもちろんのこと、父や祖父母も協力してくれ本当にありがたかった。いざというとき、車をすぐに出してもらえるのも助かりました」
今回、長男は帰省先の保育園が産前産後の一時預かりをしてくれることになっており、2人目の出産も受け入れ態勢は万全だった。
しかし、妊娠30週を過ぎ、出産まであと2カ月――。
県の方針で受け入れできないと説明されたので、実家近くの病院はどこも無理だろうと諦めた。だが、自宅近くで今から受け入れてくれる病院がどこにあるのか、検討もつかない。自宅近くの病院を手当たり次第ネットで調べた。
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