立ち会い・里帰り「不可」に直面する妊婦の苦悩 コロナの影響で母親学級も中止に不安募る

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フルタイムで働く吉永さんは、産休に有給休暇を追加して、4月から少し早めの産休に入っている。

「うちの会社は、産休前に有休をフル活用できるような雰囲気ではありませんが、今回の事態を受け、妊婦が特別休暇を取れるように社内で通知が出ました。そのため、周りの人たちからも早く休めと言ってもらえたのはありがたかった」

しかし、産休中にしようと思っていた保育園見学は、どこも今はできない。また産後に活用したいと思っていた産後ケアセンターも諦めモードだ。

「早めにプロの人に教えてもらえば、その後がスムーズかなと思って一度見に行ってみたかったんですが、今は見学不可。7月の予約は受け付けているようですが、値段は変わらないのに、イベントが中止されたり、夫も一緒に宿泊できないなど制約もあって。さすがに高額なのに一度も見学しないで決めることはできません」

両親学級・母親学級もすべて中止

病院や区が開催している両親学級や母親学級もすべて中止となった。区主催のものはただでさえ人気が高く抽選方式。やっと5月下旬のものが当選したが、これもどうなるかわからないという。

「病院に相談したところ、6月まで一切両親学級が開催されなければ、資料を渡すのでそれを読んでほしいと言われました。でも、これ以上区や病院からの情報がないのは不安なので、有料ではありますが現役助産師さんたちがオンライン上で両親学級を開いているので、それを申し込みました」

吉永さんはひどいつわりで1カ月入院を経験しており、動けるときに動いておかないと、またいつ体調が悪くなるかもしれないという不安がある。

「赤ちゃんグッズも本当は触って生地を確認したり、いろんなお店に行って相場感を知りたかった。今ならせっかく動けるのに……と、もどかしいです。家にいても、ネットやテレビを見て悶々と病んでいくだけ。幸い、コロナのおかげでオンラインでもできることが増えたので、Zoomで働いている友人とオンラインランチをしたり、ネットのビジネススクールに通ってみたり、気分転換をしています」

新しい命は、未来の希望――。

出口が見えないコロナ禍であっても、すべての妊娠中の女性が、穏やかに出産の日を迎え、少しでも安心して産前産後を過ごせるよう、お母さんと赤ちゃんに寄り添った情報提供やサポート体制が必要だろう。

吉田 理栄子 ライター/エディター

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よしだ りえこ / Rieko Yoshida

1975年生まれ。徳島県出身。早稲田大学第一文学部卒業後、旅行系出版社などを経て、情報誌編集長就任。産後半年で復職するも、ワークライフバランスに悩み、1年半の試行錯誤の末、2015年秋からフリーランスに転身。一般社団法人美人化計画理事。女性の健康、生き方、働き方などを中心に執筆中。

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