コロナで露呈「残念すぎる」日本人の意識の低さ 寄付や貢献をしようとしない企業と個人

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加えて、マスクや防護服や人工呼吸器が足りなくなると叫ばれても、寄付しよう、医療機器を新たに生産して提供しよう、という企業や個人がとても少ないのはどうしてだろう。自宅や洋服・持ち物の値段をテレビやSNSで自慢する有名人がたくさんいるというのに、これが世界第3位の経済大国なのだろうか。私の生まれ育ったイランと対照的だ。

イランも近年次々と自然災害に襲われ、新型コロナウイルスでは大変な目に遭っている。だがテレビでは応援の番組が放送され、多くの有名人が競って高額を寄付している。これほどの厄災でなくても、貧困層などへの支援や、困ったときに親戚同士で食べ物・物資を融通し合うことは日常茶飯事である。

社会構成員の自覚に欠ける

私はこのコロナ禍を通じて、日本人は総じて自分が社会の一員であるという自覚に疎いと感じてしまった。考えてみれば国政選挙も地方選挙も投票率が低い。とくにそれは都市部で顕著だ。そして今、コロナの影響を最も受けているのが都市部である。

感染が本格的に広がる前の1月から可能な限りマスクを着け手洗いし、感染防止に努めてきた日本人の意識は素晴らしい。民度の高さの表れだが、それは同時に、テレワークや休みを容認しない企業への諦めと自己防衛なのかもしれない。

日本人にはマスク着用以外にも、社会の構成員としての自覚と協力を惜しまない姿勢を見せてほしい。つまり、家にとどまり家族や隣人を大事にする、不自由もしばらく我慢する、税金で困窮者を分け隔てなく支援することを支持し、余裕がある人は寄付をする。医療従事者やインフラを支える人をサポートする......。

政府や地方行政のパンデミック対策に思うところのある人は、次の選挙で投票に行き意思を示すべきだ。民主主義の経済大国の社会のあるべき姿とはそういうものだと思うのだが、どうだろう。

石野シャハラン(SHAHRAN ISHINO)
1980年イラン生まれ。2002年に留学のため来日。日本人女性と結婚し、2015年日本国籍取得。異文化コミュニケーションアドバイザー。シャハランコンサルティング代表。@IshinoShahran
「ニューズウィーク日本版」ウェブ編集部

世界のニュースを独自の切り口で伝える週刊誌『ニューズウィーク日本版』は毎週火曜日発売、そのオフィシャルサイトである「ニューズウィーク日本版サイト」は毎日、国際ニュースとビジネス・カルチャー情報を発信している。CCCメディアハウスが運営。

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